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□あらしのよるに
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「先生…」

「なんだお前、まだ起きてたのか。どうした?」

今日はひどい嵐だった。
いつぞやの台風ほどではないが、岬にあるこの家は嵐となれば凄まじい強風に吹かれる。
そして自慢じゃないが素晴らしいボロさの我が家。木材のひしめく音と風の音で、こんな日は決まって寝付けないのだ。

「一緒に寝てもいい?」

うちで暮らすようになった頃はうなされて泣き出す彼女の横で寝てやったもんだが、それも次第になくなり、彼女も自室のベッドで寝るようになった。
だがこの嵐だ。そこら中から聞こえてくる物音に怖くなったのだろう、愛用の枕を抱いて彼女は寝室にやってきた。

「狭いぞ。いいのか?」

「いい…」

枕を抱え、もぞもぞと布団の中に入ってくる。

「先生…」

「ん?」

「こあい…ぎゅってちて」

昼間の彼女とのギャップに苦笑しつつ要望に答える。
私より少し体温の高い彼女が入ると布団はたちまち温かくなり、なんだか寝れそうな感じがしてきた。
一方の彼女はというと、物音がするたび体をピクッと震わせていた。
いつもは強気なくせにやっぱり女の子なんだなーなんてぼんやり考えていたら外の音が一層強くなった。どうやら雨が降ってきたらしい。

「雨降ってきたみたいだぞ。」

「いやん…もう」

彼女はさらに私に寄ってきた。雷への準備らしい。
一層体はぽかぽかと温まり、そろそろ本気で寝そうになったその時−

ドンッ
「キャッ!」

「っ!」

雷が落ち、案の定彼女の体は大きく反応した。
しかし重要なのはそこじゃない。反応した彼女の足がちょうど私の足と足の間−つまり性器に直撃したのである。
そして一番気になるのは雷に怖がっているはずの彼女の顔。
さっきまでの泣きそうな表情とは打って変わって、何か聞きたそうな顔である。

「こえ…なに?」

探るように自分の足にあたっているモノをさする彼女。

「っ!こらピノコッ…やめなさい」

必死で彼女の体をひっぺがすが、すでに反応しきっている私のそこ。

「そえなに?」

「っコホン……なんでもないよ。」
「うそ!なんかあゆもん!奥たんに隠し事はゆゆちまちぇん!」

奥さんであるならそのくらい知っていてくれ。まぁ、教えてないから当然か。

「で、なんなの。そえ。」

私はワイシャツに口紅をつけて帰ってきた亭主か。なんでそんな冷たい口調なんだ。
さて…1から教えて彼女が理解できるだろうか。いやその前にまず私の股間がまずいことになっている。
よし、今度にしよう。彼女の好奇心より自分の体の方が大事だな、うん。

「明日、教えてやる。」

「えーなんれ、今知りたい!」

「だーめーだ!明日ちゃんと教えてやるから、今日はもう寝なさい。朝起きれなくなるぞ。」

しぶしぶ納得し、布団に入り直した彼女。少し興奮して疲れたのか、すぐに寝息が聞こえてきた。
そんな彼女を恨めしく思いながら、火照った体を冷やしに私はバスルームへと向かった。



えんど。

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