□詩集4
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[君在りて幸福]


この距離を、ただ恨む
決して交わることのない
満員の滑走路を
走り続けるピエロット

隠したはずの熱を、甦らせたあの子は
素敵な髪飾りを揺らして歩く

静かに蝕まれて
何も見えなくなるまで
染まっていく
あなたの嫌いな血の色に

守りたかったものは、ひとつじゃない
あなたはあなたの命を掛けて

こうして残った
醜い心の亡骸を
切れ間に浮かべて微笑んでも
あなたは最後まで、この手を取らない

どうか気付かないで
そこにある、歪んだゼラニウムの花に
もう何も失わないように
生きて、
愛さなくてもいいから
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