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□果てしなく一方通行
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先輩達とお昼を食べるために、いつものように屋上へと向かった。
屋上の前まで来ると、ブン太先輩が扉の前で中を覗き込んでいた。
後ろから驚かそうと、そっと近付いて肩を叩くと、ブン太先輩は案の定ビクッと体を強張らせ驚いた。
「あはは、驚きました?…ていうか、何やってるんですか?こんな所で」
私が声をかけて屋上へ出ようとすると、先輩は慌てたように扉の前に立った。
「あー、まだちょっと入んな」
「…何でですか?」
「いいから!…あ、」
態度が怪しい先輩を不審に思い、少しだけ空いた隙間から無理矢理中を覗く。
ブン太先輩の言った意味がわかった頃には、もう手遅れ。
屋上には、雅治先輩と小鳥先輩。
扉からは少し離れているが、ここから見る限り二人の顔は重なっていた。
あぁ、とうとう付き合ったんだ、なんてのんきなことを考えていたら、ブン太先輩に体を引っ張られた。
「なまえ…」
泣きそうな、それでいて怒っているような顔の先輩。
「やっと諦めがつきますよ」
笑いながらそう返すと、ブン太先輩は私の手を掴むと、そのまま歩き出した。
「ちょ、ブン太先輩どこに」
「いいから黙ってろぃ」
有無を言わせない雰囲気の先輩に、私は口をつぐんだ。