短編

□シンデレラガール
2ページ/14ページ



あれから、十二年の月日が経った。
あの時の少女は今ではもう十七歳。
おしとやかで心優しい、とても綺麗な女性へと成長した。
そんな少女は両親と共に幸せな日々を送っていた。
が、ある時、少女の母が病にかかり亡くなってしまった。
少女も父もとても嘆き悲しんだ。

それから少し経ち、父は新しい奥さんを迎えた。
少女は継母と義姉の三人の新しい家族が増えた。

しかし、新しい家族は少女のことを良く思ってはくれなかった。
父がいる間は表向きには仲良しを装っていたのだが、間もなく父も亡くなった。

そして、少女の生活は一変した。

綺麗な洋服など着れず、麻でできたワンピースとその上にはエプロン。
部屋からは追い出され、狭い屋根裏部屋に。
家事や雑用は全て押し付けられ、少しでも抜かりがあると怒られ、酷い時には殴られた。

それからというもの、少女はいつも灰だらけの格好をしており、『シンデレラ(灰かぶり)』と呼ばれるようになっていった。
今ではもう、少女の本当の名前を呼ぶものは誰もいなくなってしまった。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ