光と闇の巡間で

□波乱の始まりは
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「志那(シナ)、斎姫に傷一つつけるなよ」

「御意」

志那というさっきの女性は私の前に静かに降り立つ

「先程は…
斎姫様、此方へ」

『貴女は…忍だったの?』

「志那、と申します
天架に仕えし忍でございます

主より、斎姫様を見守るように命を受けました」

志那は長刀を出した

『あれ?どうしてここにこれが…まぁいいか』

確かにそれは私の長刀

「斎姫様の長刀の腕はかなりのものとお見受けします
主と光雅殿は風読利粋と戦っております
私も居ますが、もしものこともあります故に…」

『そういうこと…わかった
私のことは気にせず、心置きなく戦って、志那』

「御意!」

志那は懐から色鮮やかな簪を数本取り出す

『…かん、ざし?』

「これが私の武器です」

忍とは思えぬほど柔らかく微笑んだ志那は懐から更に小さな巻物を取り出した

駆け寄ってきた敵忍に簪を投げつける

『あぁ…クナイみたいね』

忍といっても個性はある
それは、術に、戦法に、武器に
表れるものだろう

志那は巻物を開き、陣の描かれた中心に漆塗りの簪を突き立てた

私は長刀で敵を薙ぎ払う

「…ッ開陣…」

志那の力を注ぎ込むことで巻物に記された封印を解く

それは、大きな漆黒の簪の形を模した錫杖

『…凄いわ』

長刀を振りかざし、雑魚を引き付け一払いした

「斎姫様、姫でありながら素晴らしい腕前!」

志那が錫杖を一鳴らせすると、強風が吹き荒れた






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