光と闇の巡間で
□はかない恋
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『…はぁっ…!』
中庭で、長刀を振るう
これは私の日課
幼い頃から触れているこの長刀は私の体の一部
付き女房の風衣は優しくそれを見守っている
「斎姫様、そろそろ終わりになさってください
あまり鍛練ばかりなさると芳月様が気に病まれますよ?」
『そうだね、ありがとう風衣』
「いつもお疲れ様です」
風衣は苦笑いして、手拭いを渡す
私は汗を拭き取り、濡れた鍛練着を着替えるため部屋に向かった
部屋に行く途中…
「斎姫」
優しく名前を呼ばれる
『…光雅』
陽に当たり輝く銀色に会った
「今日も鍛練か?」
『私も強くなりたいから』
「斎姫は十分強いけどな」
優しく私を撫でる手は大きく暖かい
『今も鍛練してたんだよ』
「そっか、頑張ったか?」
優しく光雅が微笑む
『光雅、今日は鍛練しないの?』
「後でする」
『手合わせして欲しいんだけど…』
「喜んで」
ニコリ、と笑った光雅を見て思った
─やはり私は…
光雅が好きなんだ
「着替えないと風邪引くぞ」
『…うん、またあとで』
「あぁ、いつもの所で待っている」
すれ違い際に大好きな光雅の匂い
それだけで、私の機嫌は最高に良くなる
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