光と闇の巡間で

□悲哀
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「私は、この命を懸けて
花姫様を守ります」

その為に、技を磨き、鍛練を重ねた

総ては君を守る為

「お父様、私…強くなりたいの
私の大切な人を、みんな守れるくらい」

君は殿に頼んでいた
殿は、姫の指南役を私に命じた

両親を戦で無くした私を、
殿は拾って、育ててくれた

花姫を守る為に




中庭で、竹刀を振るう姫

艶やかな黒髪を、邪魔だから、と肩の辺りでバッサリ切り落としたのはついこの前

「!…芳月!」

「鍛練、頑張っているようですね」

「うん!待っててね
私がみんなを守るくらい強くなるから!」

「それでは…、私の意味が無いのでは?」

きょとんとした顔の後、花姫は微笑んだ

「私は、芳月を守りたいから強くなるの」

不覚にも赤くなる頬

「…そうですか…」

「あと!敬語は止めなさい!
聞いてて疲れるわ」

「…そうだな
堅苦しいのは嫌いだ」

「その方が良いわ」

花姫は精一杯背伸びして、私の頭を撫でた

「さ、手合わせしましょ」

竹刀を渡して、自らは大きな長刀を持つ

「はぁー、全く…」

「行くわよ!」

繰り出される一撃は小柄な少女のものと思えぬ程に重い

「なかなか…やるな!」

押し返せば、華麗に飛び退ける

花姫はいつのまにか、こんなに強くなっていた

「花姫様、芳月様」

ふと、花姫の女房がやって来た

「殿がお呼びですわ」

「お父様が?何かな…
手合わせ続けたいのに」

「良いから、行くぞ」

駄々をこねる花姫の手を引いていった



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