光と闇の巡間で

□波乱の始まりは
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少し町を歩いていると、人混みを見つけた

『…何かしら』

「チッ…あれは風読の手の者だ」

『…風読が、どうして永海の領地に?』

「さぁな…」

人混みの中心では、偉そうに町人を踏みつける男と、公家の篭のようなものから顔を覗かせる青年

『…風読、利粋…っ』

青年はつまらなそうに男を見ていたが、此方を見て…ニヤリと笑った

「バレたか…!?」

『走ろう、光雅!!』

利粋は篭から降りた

「町人ども、命が惜しくば散れ

…奴等を追え」

楽しそうに歪められた口許を隠し、その端正な顔に狂喜の色を浮かばせた

「斎姫、掴まれ」

光雅は軽々と私を抱え上げ
裏道に入り込み、人通りの少ない森に逃げ込んだ

『光雅…ありがとう』

「あぁ…、来たぞ」

隠していたらしい刀を構え、辺りに気を張る光雅

私も、短刀に手を伸ばす

「ククク…鬼ごっこは此処までだ…
…愛しい我の斎姫」

『っ…』

そっと手を伸ばしてきた利粋に光雅が斬りかかる

「我が姫に触れるな…外道」

「クク…たかが従者が…
鬼は斎姫にご執心か…」

ぐいっ、と引っ張られ手を利粋に掴まれた

『離せっ!!』

「相も変わらず、気が強いな…
斎姫

光雅を捕らえよ、秀吉公に土産として連れていくぞ」

利粋の命令で後ろに控えていた護衛達が光雅を捕らえる

『ぁ…光雅っ!!』

叫んだ次の瞬間、疾風が過ぎ
鈍く銀色が輝いた

「その方を離していただく」

護衛の喉元に当てられた刃

「…麻、幸?」

「まったく…、なにをしておられる
光雅殿」

「登瀬麻幸…か」

光雅の副将、登瀬麻幸

そして…

「その姫は我が許嫁
そのような無礼は…天架唯世が許さぬ」

『…唯世…』

許嫁の天架唯世

「チッ…」

数人が唯世を囲う

「かかってくるか?」

黒刀を構える唯世

「主に手を出すな」

唯世を庇うように立つ忍

『あれ?』

忍は先程の女性であった








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