光と闇の巡間で

□出逢い
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カキィイィーン

刃は当たり甲高い音が響く

「確かに、お強いようで…」

「っ…光秀殿も!」

息切れもせず余裕のように微笑む光秀殿を花姫は見つめている

あぁ…きっと、ただの嫉妬

「花姫は幼い頃から見ています
あの子は戦に生きるべきでは…ない!!」

垣間見えた、明智光秀という男

「だが、私は…花姫が幸せならば…それで良いのです」

一瞬、儚げに笑った男は…
どこか花姫に重なった


その笑みにより出来た隙を、光秀殿は正確に捉え刀を降り下ろした

「…参り…ました」

「お強かったです、芳月殿」

汗一つかかず飄々と…

「芳月!光秀様!二人共すごい
私は追い付かないわ」

「花姫様、手合わせしましょう」

「うん!」

女房は長刀を持ってきた

「行くわ!」

鋭く切り出された一閃を軽やかに受け流した光秀殿は守りに入る

的確に攻める花姫はどこか楽しそうで

「やっておるな」

「ふふ…成長したわね花姫」

「の、信長様、濃姫様」

突然後ろから降ってきた声に驚くと、信長様は少し笑って、二人を見つめた


二人の勝敗はついたようで、またも光秀殿の勝利

「光秀様!ありがとうございました!
また手合わせしてください」

「はい、私で良ければ喜んで」

端正な顔で柔らかく微笑むと光秀殿はその細く美しい女のような指で花姫の髪に触れた

「強くなったな、花姫」

「信長様!見ていらしたの?」

恥ずかしそうに苦笑いを浮かべた花姫は長刀を置いた

「どうだ?芳月
光秀は強かろう?」

楽しそうに笑みを浮かべた信長様

濃姫様も花姫を撫でながら視線を向けた

「貴方は、どこの家の出の者なの?」

「……申し訳ございません、私は幼き頃に…殿に拾っていただいたのです」

濃姫様は驚いたように目を見開くと信長様をちらりと見た




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