Short Story(2008)

□お見合いCrisis★
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「終わりだな、俺達。…じゃあな!」
俺はもうこの場に立っていられなくなりそうで、資料室から出て行こうとすると、
「……何故だ!何故そうなる!」
搭矢の苦しそうな声が後ろから飛んで来た。
「見合いの話をしなかったのは僕が悪い!それは謝る、すまない!でも、僕は君と別れるなんて言ってないっ!!」
畳み掛けるように搭矢が言う。
「勝手に決めるな!別れる気なんかない!君が別れるって言っても僕は嫌だ!!」
搭矢は俺の肩を掴んで、
「こっちをみろ!進藤!!」
と言って肩を引いた。
「言いたい放題言って、僕の話を聞け!」
別れる気がない?
俺は涙をいっぱいためた目で搭矢を見た。
そして、搭矢の顔を見て驚いた。
搭矢はボロボロと涙を零していた。
その時、俺の目にたまっていた涙も零れ落ちた。
搭矢の指がそっと俺の涙を拭った。
「ごめんね。話さなくてはいけないって思っていたのに…。」
搭矢の声は優しかった。
「ちゃんと話すから聞いてくれる?」
俺は黙ってただ頷いた。
「僕もお見合いの話は聞かされてなかったんだ……」
搭矢はゆっくりと語った。
搭矢の話は…
親から見合いの話をされた時、搭矢はきっぱりと断った。だけどその2日後、食事に行くという名目で連れ出され、出向いた先にお見合いがセッティングされていた。相手の素姓は、大まか芦原さんの言ってた通りだ。歳は24、俺達の3つ上だ。
両親の顔を潰すわけには行かず、その場はそれなりに過ごし、家に戻ってから親に強く断ったという。でも、先方は搭矢を気に入り、搭矢の両親も相手に不足はないと、搭矢の断りを伝えず、搭矢の知らぬ間に話が進んで行ったとのことだ。
搭矢は終始真っ直ぐ俺を見て、きちんと伝えてくれた。
「僕は何度も嫌だと言ったんだ…、なのに全く聞いてくれない。だからね…、父に、僕には好きな人がいるって怒鳴りつけて、家を飛び出して来たんだ。」
「飛び出したって…。いいのか、そんなことして…。」
搭矢は小さく頷き、俺の胸に手を乗せ体重を預けた。
「君のところしか行く場所がないんだ…。」
「普通に結婚した方が…、お前には幸せなんじゃ……」
「君はそれで平気なの?」
「…。」
「僕は嫌だ。仮に…君が見合いをしたとして、君が女性と結婚して、僕じゃない人と家族になるなんて…。そんなの嫌だよ。」
搭矢が俺の首筋に頭を擦り寄せてきた。
涙がどっと溢れてきた。
家を飛び出してまで、俺を選んでくれた。俺のところに来てくれた。俺は搭矢を信じればよかっただけなのに、変な風にいろいろ考えて、苛ついて…俺馬鹿だ!
俺は力いっぱい搭矢を抱きしめた。
「ヤだよぉぉ〜。…俺だって、お前が俺じゃない奴と…、やだっ、やだよぉ〜。」
情けない声を出して、俺は搭矢をもっと強く抱きしめた。
搭矢は愛おしむように俺の背中を撫でてくれた。
「大丈夫。僕は君とずっと一緒…。」
「搭矢ぁ…。」
俺も搭矢も涙でびしょびしょの顔を見合わせた。
俺は涙に濡れた搭矢の顔のあちこちにキスをした。
搭矢の涙の味か、それとも俺のなのかよくわからないけど、とてもしょっぱくて…でも甘かった。
「進藤…、棋院だょんっ……」
搭矢が笑いを浮かべ言ったが、言い切らないうちに、唇を塞いだ。
久しぶりの搭矢の唇に俺は夢中になった。
薄いけど柔らかい唇、初めてこの唇に触れた時、絶対に離さないって決めたはずだ!
「…ンンッ…、ハァ…んっ…」
「……んん、…ぁはっんんっ!」
搭矢もいつの間にかキスに夢中になり、俺の舌に自分の舌を絡めてきた。
長いキスに息が上がってきた。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「搭矢ぁ、俺…したくなっちゃった。」
「なっ!こっ、ここは、棋院だぞっ!馬鹿なこと言うな!」
2ヶ月半、全く搭矢に触れずに過ごしてたから、搭矢に触れられた時点で既におれの中心は反応していて、濃厚なキスをしてパンパンになるほど成長してた。
「君の家で、…すればいいだろ…。」
搭矢は少し顔を赤らめて、恥ずかしそうに言った。
この顔も久しぶりに見る。
余計高ぶってくる。
俺は手を伸ばし搭矢の股間を触った。
「お前も家までもたないだろぉ。」
「っ!!」
搭矢のそこも少し触っただけでわかるくらい硬かった。
搭矢だってご無沙汰なわけだから、したくないわけない。
「なぁ、搭矢ぁ。しよっ。」
「ダメだよ、こんなところで…ぁッ……進藤ぉ、ちょっ…」



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