Short Story(2008)

□生活の変化
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幼い頃から僕の朝は早かった。
5時に起床し、5時半から父と一局打つ。その間に母は朝食の準備をしていた。お味噌汁の香りが漂って来たころ、終局し、制服に着替える。そして、朝食を済ませ、8時半に学校に向かう。
15歳までそれが僕のサイクルだった。
そんな僕も今ではすっかりお寝坊さんだ。
仕事がない日は昼まで寝ていることもある。
しかしもっと寝スケなのは、僕の隣で小さな寝息をたてて寝ているこの男。
僕の手をギュッと握ったまま、クークーと鼻を鳴らしている。
僕に寝坊癖がついたのも彼のせい。いけないと思いながらも続けている僕も悪いのだか、気持ち良さそうに眠る彼を見ていると、ついついこれが幸せと思ってしまう。
僕は進藤の柔らかい栗毛を撫でた。
なんてかわいい顔して眠っているんだろう。身体を合わせている時の進藤とは大違いだ。
彼の寝顔を見ていると、笑みが零れる。
いや、でもこれではいけない!
生活の乱れは精神の乱れ。正さなくてはいけないんだ。
僕は心を鬼にして、進藤を起こす決心をした。
「進藤。起きて!」
空いてる手で進藤を揺すった。
「進藤。もう9時だよ。」
進藤の長い睫毛が少し動き、ゆっくりと瞼が開いた。
…まだ……眠い。」
進藤は掠れた声でそう言って、僕の首筋に顔を埋め、また瞼を閉じた。すぐに寝息が聞こえ出す。
眠いのも無理もない、僕たちは明け方近くまで起きていた。今日が休みなのをいいことに、疲れ果てるまで愛し合っていた。
僕だって正直まだ眠い。
このまま寝てしまっても…、と何かが誘惑する。
眠気に任せて目をつむると、グーっとお腹がなった。
どうやら、眠気より食い気のようだ。
ちょっと何かお腹に入れたい。
もう一度進藤を揺する。
「進藤、起きてよ。僕、お腹すいたよ。ねぇ、進藤。」
「ん……?」
「ねぇ。」
進藤は顔をあげて目を閉じたまま、僕にキスをした。
〜チュッ、チュッチュッ、〜チュッ。」
「こらっ、進藤!」
唇が離れた瞬間を狙って、手を進藤の顔を押した。
「なんだょぉ…もぅ…。ハァア〜ア。」
進藤は大きくノビをした。
「コーヒー飲みたい。」
「コーヒー?」
「君の入れてくれるコーヒー飲みたいな。」
進藤の入れてくれるコーヒーはとても美味しい。今の生活では、朝には欠かせないアイテムになっている。
進藤は頭をかいて、目をこすって、欠伸をして、開ききらない目で僕を見た。
「とーやぁ、コーヒー飲んだら、また一緒に寝よ。」
「まだ寝るの?」
「今度は、ひ・る・寝。」
しまりのない顔で笑う進藤はとても幸せそうだ。
見ているだけで、何故だか僕も幸せになる。
「しょうがないなぁ。今日は一日ゴロゴロしちゃおうか。」
「しちゃおうっ!」
「じゃあ、コーヒー入れて。」
「オッケー!チュッ!」
進藤は両手を挙げてよろこび、僕にキスをし、キッチンへ向かった。
生活の乱れは精神の乱れ。
でも、この幸せには変えられない。
正すのは……、
また今度にしよう。



〜FIN〜
2008.1.28



【あとがき】
自分が書くものはどれも似たパターンですが、こういうのが好きなんです(笑)
ヒカルによって変わっていくアキラ、またアキラによって変わっていくヒカル。そしていつも二人は幸せで愛がいっぱいに溢れているんでぇす!
そういう二人大好き!
二人の日常を妄想するのがとても好きなんです!
またか…、って感じですがお許しくださいませませm(__)m

最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)mm(__)m


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