獄ツナ
□鳥。
1ページ/2ページ
何度、貴方が羽ばたいていく夢を見た事か。
「俺が鳥だったらどうする?」
茶色の髪が鳥籠の前で揺れる。
チチッ、黄色の小鳥が籠の中で羽を広げた。
「御免、意味解んないよね」
忘れて。
強張る十代目の表情。
貴方の言わんとする事は、大体解る。
「逃がしますよ、鳥なら」
動きを止めて俺を振り返る。
その瞳は優しく、包み込まれるようで。
「優しいね」
哀しそうに呟くのは、何故です?
俺はぎゅっ、と十代目を抱きしめて彼の柔らかな髪に頬を寄せる。
「十代目は俺から飛んでいかないで下さいね」
不安の丈を吐き出して見れば、貴方はくすっ、と吹き出して。
「君の傍に居る事が、俺の幸せ」
背中には貴方の腕。
胸には小さな笑顔。
ああ。
なんて愛おしいんだ。
「愛しています」
「知ってる」
離さない、絶対。
離せない、俺が。
貴方を、籠に入れて、俺は。
感謝文→