パンドラの記憶

□衝撃
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いつもと同じように帰宅した私は、リビングで妹と談笑していました。

テレビを見て、制服から私服に着替えてくつろいでいたら、突然家の電話が鳴りました。

母からでした。

その後のことはよく覚えていないのですが、とにかく私服から制服にもう一度着替えなおすように言われたのだけは、はっきりと覚えています。

そこで着替えて、帰宅した母の車に乗ると、母は行き先も告げずに車を走らせ始めました。

不気味なくらい静かな夜でした。

なんとなく母に話し掛けづらくて、妹と私は黙ったまま座っていました。

しばらくして、母がやっと口を開きました。

『二人とも落ち着いて聞いてね。』

自分にも言い聞かせるように、母は言いました。

なんとなく胸騒ぎを覚えました。

私達は、続きを促すように
『うん。』
とだけ短く答えました。





その後、自分達の遊び相手をしてくれたお兄さんが亡くなったことを知らされました。




不思議と涙は出ませんでした。
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