Love Love Love

□できるなら、まだこのままで
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 ―人間は一人では生きていけない。―

 と、誰かが、云っていた。だが、私は違うと思う。

「ね、そう思わない?」
「…あ?ナンの話しだ」

 私はデスク上にて、山積みの書類と睨めっこしている男に聞く。

「だから、人ってさ、一人でも生きていける。と思うんだけど。」
ね、だから。

 書類から視線をスッと上げてこちらをチラッと、見て直ぐに戻して口許に葉巻を加え、軽く溜め息を煙りと一緒に吐き出す。

「…で、とどのつまり、おれの部下を寄越せ、と」
「ご名答!さっすがはスモーカー准将さまだねv」
「…“准将さま”は余計だ。今回はどれくらいだ?ななし」

 ななしと呼ばれた女は、腕組み片手を顎に軽く宛てて口端を持ち上げて笑み、顎に宛てていた手を相手に向けて、スッと人差し指を立てる。

「…一人、か?随分と少な
「ブブー、残念賞。正解は10人でした!」
「…、10人をどうするんだ?まさか、また良からぬ事に首なんぞ突っ込んでんじゃねぇだろうな?」

 スモーカーは、眉間にシワを刻み、葉巻を噛み煙りをふかふかり、目は書類の字列を追いサインをして忙しなく動かす。
 ななしは、その姿を視界に捉えつつ、ソファに腰掛ける。

「今回は、別にこれと云ってヤバくは無い“ヤマ”だし?唯単に“ステークス海賊団”のアジトを探る。潜入捜査だからね。」

 調度、ななしが話し終え掛けた時にスモーカーの部下、タシギがお茶を持って入り、テーブルにカップを置こうとしてピタリ、手が止まる。

「「ステークス海賊団!?」」

「わぁー、ナイスハモり。そう、ステークス海賊団ね。それが、どうかしたの?」
「ば、っか野郎!ななしっ、お前が今、何をしようとしているのか分かってンのか!?」

「ななしさん!幾ら何でも、それは止めておいた方が良いですよ!ね、スモーカーさん」
 ななしは、キョトンとした表情で、顎に指先を宛てて目線を上に遣り直ぐに戻して、

「…嗚呼、そういえば、そんなにヤバい“ヤマ”なの?大丈夫じゃない。」

 ニッコリと笑みを浮かべて、お茶をクイッと飲み干しては、ソファから立ち上がり、両腕をググっと上に伸ばして、下ろし後ろ手で組み、スタスタと窓際へと歩み、
窓枠に足を掛けて、首だけ振り向かせタシギに「お茶、ごちそうさまv」と告げて、外へ飛びだそうとした体を煙りが搦め捕る。

「ちょっと!何すんの!離し―…っ」
「…バカか、好きな女をわざわざ危ないところに行くのを離すワケねぇだろうが?」

「え、?え…?うそ!」
「うそじゃねぇ。バカが、それぐらい理解しやがれ脳天気お気楽女が」

 気付けばななしはスモーカーに背後から抱きしめられている格好に、タシギはクスリと口元に手を宛てて、小さく声こぼし笑う。



できるなら、まだこのままで


(ねぇ?脳天気お気楽女は言い過ぎでしょ?)
(まんまだろうが、)

(いつまで、抱き付いているつもり?)
(………、離さねぇ。ずっとこの間々、おれの傍にいろよ?)

(拒否権は?)
(却下。在るわけねぇだろうが。もう手続きは済ませてある。)
(……………おはやい事で)
(当たり前だ。惚れた女は傍に置いときたいんでな)


THANKS!Love!さま

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