今日の波は静かで

まさか、あの人が何処かにいってしまうなんて思いも依らなくて…


最後に見せたあの人の笑顔は
とても、とても、

眩しくて…何処か穿かなく、


「じゃ、行って来るぜ?」

“待って”なんて言葉に出せる筈無くて

『…ええ、気をつけて行って来てね?待ってるから』


「嗚呼、それじゃまた今度は、帰った時にでも沢山一緒に居てあげるから、な?」

“行かないで!”

『ふふ、期待して待っているわ』


おお、期待しとけ。と何時ものあの笑顔で、




数カ月後だった。

エースが…、

弟を庇って、


最後の方は、取り乱して、何が何だか解らなくなった。

その日を境目にして、私の世界から“色”が無くなった。



そんな状態の私を、気遣かってくれたのが

マルコ

彼は白ひげ海賊団一番隊隊長。
「大丈夫かよい?元気を出せ、とは言わない。が」

『私は、何時もダイジョウブ』
ゲンキ ダヨ?

「…おれァが、エースの代わりにとは行かないが、お前ェを守りてぇ。一緒になってくれ」

体を包む暖かい温度。
マルコ隊長が私を優しく、とても、それは割れ物を扱う様にそっと抱き締められていた。


刹那、胸が気持ち悪くなった。顔面蒼白になった私をマルコ隊長がびっくりして、覗き込む。
私は一気にトイレに駆け込んだ。


そういえば、アレが来なくてどれくらい経つ?


マルコ隊長が心配して追い掛けて駆け付けてくれて、医務室に抱っこして連れて行かれた。

問診、診察後

「どうだったよい?」

『…エース…赤ちゃん…ッ』

次の瞬間私の世界に“色”がさぁっと戻って来た。

私は腹部にそっと手を宛てれば、微笑む。




数日後、私はマルコ隊長と結婚をした。

彼はエースの赤ちゃんが宿っていても良いから一緒になってくれと。

凄く、凄く。嬉しくって。
ぽろぽろ ぽろぽろ 涙が止まらなかった。

マルコ隊長はそっと抱き締めて頭を何時迄も撫で続けてくれた。


嗚呼ァ、エース…私は今とても、幸せよ?





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