からくり。sideG
□【4:魔術師の『カード』】
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「は?」
「うん。だから、」
「ちょっと待ってください。それは、本当の話ですか?」
「悲しいかな、真偽は確かさ」
情報元は、ウツロだもの────カラさんが笑った。歪な笑みに吐き気は無い。腹の底が冷える怖気は有るにしても。
「まぁ、時間の問題だったのではない? 現王の性格にしたら」
「落ち着いてるんですね、カラさん」
「ああ。まぁね。はっきり言って─────
今回で終われる訳無いよ。
“これ”は、いや、《ここ》は、
王家どころかあの《世界》そのものを転覆させ兼ねないんだから」
それだけの[秘密]を、終わらせられる訳が無いんだと。
その[秘密]を握る主は、カラさんは深い笑みを刻み。
こんな男に[切り札]を持たせてしまったあの《世界》を、あの王家を、僕は憂いた。
手は卒無くお茶を用意すべく動くけれど。
「ああ、それと、」
「何ですか」
まだ在るのかと、僕は言外に問い────でも気付いていた。
知っていたから。
「……。刹那のことですか」
「うん。────彼女はもう使えないから、覚悟して」
正確には、彼女の“体”がだ。
長く持ったほうだろうか。あれだけ手を加え。
僕でさえ『ああ』は行かないのに。うん。
考えながらカラさんの言葉を反芻して憂鬱になった。
これも、“切り札”になるのだろうか。なるかもしれない。
現王を思えば。さて。
「玉響にはいつ宣告を?」
「近々」
しれっと、紅茶を口に運びながらカラさんは答えた。けど、と思う。
玉響はきっと感付いている。なぜなら。
なぜなら、彼は彼女のことに関しては誰よりわかっているからだ。
ちぐはぐでも聡明な彼はたとえ薬で繋ぎ止めた“心”でも。
誰より、継ぎ接ぎでも生きる彼女を愛してるから。
【→It continues to 仕組まれた歯車と予測外の、 .】