からくり。sideB
□ 傷痕と亀裂
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気が付くべきだ。
終焉はすぐそこに来ていた。
始まれば終わる。期限の無いモノなどこの世には、いや、どんな世界にも無い。
『永遠』? 笑わせるなよ。
そんなモノは無い。在るとするなら、
ヒトでは無い[何か]。
僕が思うに“無”、だけだろう?
……何人葬っても変わらない。
『王』の刺客。彼らだって無尽蔵じゃないって言うのに。死体を見下ろす顔に嘲笑が洩れる。
スキャンダルを、揉み消したいだけなのか。躍起になる理由は、ただ、それだけなのか。
「……ぐっ……あ、ミゾレ王……」
「……」
息絶える、断末魔の囁き。
「ミゾレ……」
三番目の王子だったろうか。
今の『王』。
何代めになるのか。感傷は無い。たとえ、それが過去を彷彿させても。
だって僕は『カラクリ』だから。どうして痛む。
たかが、機械の成れの果てが。
僕が浸っていると。
「……刹那?」
耳鳴りがした。
危険信号以外鳴らないこの音が、そこを知らせる意味は、ただ一つ。
「終わって、しまうのかな」
空に放たれた言葉は、風に抱かれて散って逝った。
期限の無いモノなんか無い。いつか何も彼も終わるんだ。
食料も、時間も、富も、若さも、命も、想いも。
無造作に存在するすべてが、有限。
だって。
気付くから。
皆、ここに来たモノは。
仮初の永遠を与えても。
『壊れ掛け』は、壊れるだけだって。再生しないって。
続くモノに、
終わらないモノなんか無い。なぜなら、
始まらなくてはならないから。
気付くんだ。
玉響も。
刹那も。
……気付いてる。
【→It continues to 少女の追想と主の笑い .】