Novel3

□酒は呑んでも呑まれるな
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東京が主催する、恒例の新年会―――今年は特に企画もなく、ホテルの座敷でどんちゃん騒ぎの大宴会が催されている。



「……………」



皆が心地よく酔っ払い、騒いでいる中、福島は、呑んでいる焼酎の強さなど気に出来ないほどガチガチに緊張していた。


「福島ぁ………ふふ………」


その原因は、福島にしなだれかかっているほろ酔いの物体――大阪だった。






酒は呑んでも呑まれるな











「大阪、そうくっつくな……!」


福島をはじめとした東北各県は酒豪揃いのため、宴会が始まって4時間たってもまだ酔い潰れていない。それは他の酒豪県も同じだった。しかし、酒に弱い県はそろそろリタイアしてきている。


「やって、福島冷やいんやもん………」


何を隠そう、大阪もその一人である。宴会の盛り上げ役だった彼女は散々呑み、今は恋人である福島の横で半分潰れかけていた。


(大阪………酒に弱かったんだべか)


そう思いながら、酒気の混じったため息をつく福島。大阪は別に酒に弱くはないのだが、福島から見るとそう見えてしまうのだ。


「大阪、人前でそうくっつくとはしたないべ」

「なによぉ、福島のけち」


少しまわらない舌で言われ、赤い目元で見上げられる。福島はうっと言葉に詰まった。


「大阪、」

「福島はうちのこと………嫌いなん?」

「な、なしてそうなる!」

「ならえぇやん」


腕を絡めて、大阪はさらに福島に寄り掛かる。福島はまたため息をついた。


(めんこい…………)


普段の大阪からはとても考えられない甘え方に、胸が高鳴る。しかし、今は注目を集めてはいないが、誰かに目撃されたらどうしようという緊張があるのも確かだった。



などと考えていたら、





ちゅ、





頬に、柔らかい感触。




「…………!!?」


凄まじい勢いで振り向けば、ふにゃ、と笑う大阪と目が合う。かぁ、と頬が熱くなるのを止められなかった。


「へへ……不意打ちせいこー」

「おおおお、大阪………!!」


福島が慌てても、大阪は嬉しそうにくすくす笑うだけである。福島は、しょうがないとこの宴会で癖になってしまったため息をついて、大阪の腕を外した。


「む………?」

「大阪、涼みに行くべ………ほら」

「立てんもん………」

「…………はぁ」


ため息をついたら幸せが逃げていくって、誰か言ってなかったか。福島はキョロキョロとまわりを見回し、皆が熊本と青森の喧嘩に注目しているのを確認すると、大阪を抱き上げ、そそくさと座敷を出た。









「よっこいせ、と」

「にゃはは………古ーい」

「……………」


自分の部屋に連れていき(流石に大阪の部屋まで行く勇気はなかった)、窓際のソファに降ろして窓を少し開ける。大阪は相変わらずふにゃふにゃとした笑みを浮かべていた。


「涼しい〜」

「………温いくらいだべ」


東京は温い。大阪など論外だ。雪の降り積もらない景色を不思議な思いで眺めていると、セーターの裾が引っ張られた。


「大阪?」

「福島と二人きりなん、久しぶり」

「…………んだな」

「ふふ」


普段と質の違う微笑みを浮かべたまま、大阪はごろんとソファに寝転がった。福島、と名を呼ばれ、仕方なくソファのひじ掛けから地べたへと移動する。


「なぁ、」

「ん?」







「好きや」







また、不意打ち。


「…………!!」


目を見開いた福島を見て、大阪はこんなん普段言えんし、と言った。



「…………お、おらも…………好き、だ…………」



恥ずかしさを飲み込んで、言葉を紡ぐ。


「……………」


返事がない。


「…………大阪?」


覗きこんでみれば、大阪は幸せそうな笑顔を浮かべて夢の世界にいた。


「ったく…………」


一世一代の告白を一体どうしてくれるのか。
はぁ、と、もう数える気力も無くしたため息をつく。数の関係で自分だけ一人部屋だったのがせめてもの救いだ。大阪をベッドに移し、自分はソファで寝ればいい。




すやすやと眠る恋人と、久しぶりの愛の言葉に、自然と頬が緩んできた。





















(あれ?うち…………って、福島!!?)
(起きたか)
(なんで福島が………つか、どこやここ!?)
(………覚えでねぇのか………)
(????)









酔っ払い大阪&乙女福島。酔っ払った女の子は美味しいです←
紫音様、こんなんでよろしかったでしょうか………返品苦情受け付けます!
 

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