Novel3
□夏休みの教室へ
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夏休み突入――――
それは青い春の始まりと、地獄への入り口の分かれ道。
広島にとっては二回目の地獄、補習の始まりである。
「あっち…………」
体感温度に率直な感想を述べて、広島はソーダ味の氷をがりりとかじる。するんと口に滑り込んだそれは二、三回も咀嚼しないうちに咥内の熱で融解し、爽快な炭酸に似合わないベタベタした甘さを残して喉の奥へとランナウェイした。この暑さでは折角の氷菓子もすぐ甘いジュースへと変わってしまうため、ついさっきコンビニで買った棒アイスは、僅か一分で広島の胃の中に納められた。
「朝でこれなんじゃから、昼は堪えるのぉ」
のんびりした老人のような口調は時折腐れ縁の幼なじみに揶蝓されるが、広島からすればこれは生れつきのもので、さらに言えばどっちもどっちであることは周知の事実。
「あ、広島さーん!」
信号待ちで立っていたら、向かいの歩道で手を振る少女。
「愛媛」
学校指定のリュックサックを重たげに背負っているところを見ると、これから自分と同じ目にあうらしい。
「お前も補習なんか」
「えへへ」
「褒めとらんぞ」
「でも嬉しいわ」
広島さんと一緒。
にこ、と微笑まれてしまえばこっちの負け。生まれたときくらいからの付き合いである愛媛はますます女らしくなって、少し日焼けした肌に白いブラウスが眩しかった。
「………補習で嬉しそうにしとるなんておかしいのぉ」
「でも、夏休みに学校に行くって、新鮮な感じやわぁ」
「実際地獄じゃけどな………」
ため息をつくと、愛媛はくすっと笑った。
「一限目は現国よね、山口先生よ?」
「………余計嫌じゃ」
幼なじみに補習を受けるはめになろうとは、この学校に入るまで予想だにしなかった。
「あ、沖縄さんやわ。宮崎くんも居る…………あっちは大阪さんやない?」
自分たちと同じ目にあう予定の同志たちが、のろのろした蟻みたいに校門に吸い込まれていく。
「あ、三重さんや!」
おーい、手をふりながら駆けていく愛媛を追いながら。
(まぁ…………青春かな)
暑さにやられた頭で、想いを再咀嚼。
夏休みの教室へ
(君となら)
(暑さだってへっちゃら!!)
また片思いみたいになってしまった………友達以上恋人未満的な←古い しかも学パロにしてしまうという………しかも短い←←
すみませんすみません遅くなった上にこんな駄文を………!よければ貰ってやって下さい!