Novel2
□両想いプロセス
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「おわっ……!!」
電車の規則正しい揺れが眠気を誘って、つかまっている吊り革から手を離しそうになり、あわてて隣のロキにしがみついた。
「グレイ、大丈夫?」
「……眠いんだよ……」
目をこすりながら返事する。昨日夜までテレビ見たのがいけなかった。
「アハハ、君もナツと一緒に走れば?眠気覚ましになるかもしれないよ」
五駅分を走る乗り物嫌いの友人を思い出す。死んでもああなりたくない。
「いや、遠慮しとく。」
「あの子がいるから、でしょ?」
「……お前なぁ」
そういうと、ロキはにやり、と笑った。
「君とは長い付き合いだからね」
いつもあの子をみてるでしょ?と、ドアのあたりを指差す。
そこには、ある少女がいた。
電車がよく一緒になる少女。名前は知らない。制服から、俺の通う男子高校の近くの名門女子学校に通ってることが分かっているだけ。
最初は、その制服に驚いただけだった。変人だが金持ちな育て親の通っていた学校がそこで、お嬢様学校でも車で行かない奴はいるんだと思った(偏見だけど)。実際他の男子高生も、本人の一見ツンとした美貌もあって注目してて、一度なんかナンパされていた(一緒にいた金髪の元気な女子が追い払っていたが。)
そして、気付けば俺は。
少女に恋をしていた。
「君も健気ってゆーかなんてゆーか……"氷の男"グレイの名前が泣くよ?」
「るっせ!!」
無駄なことを言うロキの頭をはたいてやった。
*