Novel2

□リユニオン・コール
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決められた11桁(あるいは7桁)の番号と発信ボタンを押す。

それだけで、発信された電波は海も山も越えて、喋りたい人のもとへ飛んでいってくれる。

つくづく電話というものは偉大な発明だ。


「咢くん……知ってる?」

でも、やっぱりそれは声だけのことで。

「女の子って、遠距離恋愛すると他の人に恋したくなるんだって」


その人の表情とか、今してる仕草とか、人肌のぬくもりとか、そういうものが足りなくて。


どうしても、寂しくなってしまうの。


『……だから何だ、浮気するぞとでも言いてぇのか』

「……そんなことしないよ。知ってるくせに」

『ククッ、そりゃそうだな』

電話ごしに響く恋人の声。
彼も今夜の美しい月を眺めているのだろうか。

(そうだと、いいけど)

どこにいるか分からない彼のことだ、真昼の太陽の下にいるのかも知れない。


『でもやっぱり淋しいから、電話してきたと』

「う………」

『分かりやすいな、てめぇは』

「……咢くんは、淋しくないの」

『亜紀人は淋しがってるがな』


それじゃ、暗に自分は淋しがってないって言ってるようなものじゃない。

言おうとして、ぐっと唇をかんで我慢する。

そのかわり、瞳からは涙が溢れてきたけれど。


「………ッ、ひっく………」

『……何で泣いてんだよ』

「だっ、て……淋しい、から」

『……ちっ』


ぐしゃぐしゃ、と微かな音がする。大方、彼が困ったように頭をかいているんだろう。



『っつーか……こういうのはベタで嫌なんだが……』

「……?」

照れたように喋り始める彼は、思いもよらないことを言った。


『ベランダ、見てみろ』
思い当たるのは、数々の恋愛物語で使い古されてきたあのシーン。




跳ねるように私はベランダのガラス戸に駆け寄り、カーテンを一気に開いた。






そこには、携帯を耳に当てて佇む、愛しい人の姿。






「なんで……ここ、6階……」



『A・T履いてたら何でもねェ高さだろーが』



そう言って、彼はにやりと笑った。









リユニオン・コール





(電話を切って)

(あとは彼の胸へダイブ!!)












獄ハルでも出来たなこのネタ。でもエア・ギア公式カプの一つが書けたので満足満足(樹枢、カズエミ、咢中は公式カプだと信じております大暮先生!!)。

この話、原作から数年後、イッキが空の王になって、咢くんもA・T界の重鎮になり世界を飛び回ってるため中山とは遠距離恋愛……みたいな設定です←長
 

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