Which is right Moon's Guardian?

□月と目覚めと仮の姿
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「……なさい、起きなさい。ユエ」

クロウの声がして、私は目が覚めた。辺りを見渡すと、女の子らしい部屋が目に入る。
周りはぬいぐるみとピンク色の小物で可愛らしいものだらけだ。

どうやら、次の主候補となった者の部屋にいるらしい。寝過ぎたか。ベッドで見慣れたような見慣れないような姿のケルベロスが寝ている。
相変わらず呑気なものだ。

「またな、ケルベロス。最後の審判で会おう」

私は寝ているケルベロスに声を掛け、部屋を出ようとした。

「ん〜……ユエ……」
「!」

寝言で私の名を呼ぶケルベロスに、自分が意外と好かれていた事を知った。

「ケロちゃん!」

懐かしいさくらの声がする。同時に気配が近付いてくる。
私はケルベロスの頭をそっと撫でてから、窓を開けて空へ飛んだ。

さくらは私が出た後、部屋の扉を勢い良く開けた。二階から私の気配がしたからだろう。

「あれ……?」

何も無く、窓から入る風にカーテンが揺れるのを見ていたさくらは我に返ってケルベロスを起こす事にした。

「起きて!起きてよケロちゃん!」
「ふぐっ」

揺り起こされたケルベロスは不愉快そうにさくらの手から離れて聞いた。

「何や何や、わいを無理矢理起こしよって!」
「それどころじゃないの!ここに何かいたの!!」
「何やて!?」

慌てて二人が気配を探ったが、何もなかった。
特に異変も無い。

「あかん、何も感じんわ」
「私も……。でも、クロウカードの気配じゃなくって。でもでも幽霊とかおばけの気配でもないの!」
「ますます分からん」

そこで、ケルベロスはとある存在を思い出した。「THE CROW」と書かれた本を取り出し、その裏表紙を向けると。

「あ!本の裏にあった月がない!」
「月が……」

「どういうこと!?」と混乱するさくらをよそに、ケルベロスは考え込んでいた。
本来ならば、本の封印が解かれた時点でその「月」は実体化しなければならなかった。
それが、今になって。

「私は私の自由に生きる」

唐突に声が聞こえた様な気がして、ケルベロスが辺りを見渡した。だが、当然何の姿も見えない。

「どうしたの?」
「いや……。まあ、月に関してはまた後から分かるやろ」
「そうかなあ?」
「そうや。まずはカードや!」

ケルベロスが誤魔化したことで、裏表紙の月については放置された。
私はそこまできちんと見届けてから、木之本家を離れた。
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