Which is right Moon's Guardian?

□月と始まり
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今日も今日とて、カードキャプターさくらを見ていた。
高校生になると勉強が忙しくて、面倒になる。課題……小学生の時に宿題と呼んでいた物が増えて、中身がより難しくなる。

「あー……」

銀色の美しいキャラがテレビに映った時、私は映像を止めた。彼が好きだった。

美しくて、不器用で、優しくて、一途で。
それらの全てが大好きだった。
「月(ユエ)」。それが彼の名前。

「優樹ー!」
「うわっ」

母さんに呼ばれ、時計を見ればもう登校する時間。
今日も課題は終わらない。仕方ない、学校でやるか……。

テレビを消して、制服に着替える。女子高である我が校は何故か校則がとても厳しい。
特に時間に関しては。

「遅刻する!」

慌てて用意を終わらせ、食事もそこそこに学校へと走り出した。
学校に着けば着いたで休まらない。

「優樹さんっ、課題終わった?」
「終わってないなら私の写していいよ!」

こうやって話しかけてくれるのはいいのだが、課題を写しても自分の為にはならない。
邪魔をしないでほしいのだが、私に好かれたいと熱心に話しかけてくる。

彼女達はとても「鬱陶しい」。
数年前私の友人を楽しそうに虐めていたくせに、今は忘れた様に私に話しかけるのだ。

それに比べて、カードキャプターさくらの女の子達は。
今朝見ていたアニメの内容を思い出す。彼女達は誰一人としてイジメなんてしなかった。
李 苺鈴ですら、恋敵に正々堂々と勝負を持ちかけている。

「ごめん……、ちょっと課題させて……」
「凄い、私ならもう嫌だって写させてもらってるよ」
「おはよ、優樹」

まだうるさく話しかけてくる彼女達にうんざりしていると、後ろから挨拶してきた女子が居た。

「華世(かよ)」
「また課題終わらなかったの?」
「まあね」

私と華世が話し始めると、彼女達は「また後でね」と引いていった。
もう来なくていいと溜息を吐くと、華世が苦笑しながら私に言った。

「大変ね」
「お前を虐めた奴となんて話もしたくないんだがな」
「気にしてないって言ってるのに」
「私が気になるんだ」

課題に向き直ろうとして、見慣れない栞に気付いた。
栞を取り出してみれば、「思(ソート)」と書かれたクロウカードそっくりなカードだった。

「よく出来たカードだな」
「そうね、家から持ってきたの?バレたら取り上げられるよ?」
「黙っててくれ」
「はいはい」
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