Which is right Moon's Guardian?

□月と始まり
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クロウカードそっくりのカードを、課題と一緒に提出しない様に別の手帳に挟んだ。
課題は何とか間に合って、無事先生に怒られずに済んだ。

放課後になって、ホームルームも終わって帰り支度をしていると言い合いが聞こえた。

「今日は優樹さんは私と帰るんだから!」
「ずるいですよ先輩!私達と帰るんですよっ!」

……小学生の言い争いか?そう思うくらい低レベルな言い争いだった。私が誰と帰っても関係ないだろう。

「あれよ、あれ。好きな人と一緒に居たいってやつよ」
「私は女だぞ」
「女でも、よ」

華世が私にそう言ったが、到底納得出来なかった。私に自由は無いのか……。
勝手な押し付けは困る。これも彼女達が苦手な原因だった。

「華世、日誌は?」
「もう出してきた。帰ろうか」
「ん」

私が華世と帰っているのを見た彼女達は華世を睨みつけていた。
彼女達を睨み返そうと思っていると、華世が私の肩を叩いた。

「気にしない」
「……強いな、本当」

二人だけになってから、今日の話をする。課題が終わらなくて授業中にしていた事。
それが先生にバレそうになった事。
私が居眠りしそうになって華世が起こしてくれたこと。

「どうせ、また見てたんでしょ?」
「当然。好きだからね」
「まあ、分かるけどさ。桃矢くんかっこいいし」

華世は桃矢推しだった。ユエの方が綺麗でかっこいいと思うのだけど、桃矢もまあかっこいいから気持ちは分からなくもなかった。

「前々から思ってたが、何処が好きなんだ?」
「え?妹の危機に駆けつけて、助けてくれるとか最高にかっこいいじゃん」
「それは、まあな」

その時だった。華世の方に突っ込んでくる車が見えた。
華世が轢かれてしまう!そう思った私は華世を突き飛ばした。

「華世!」
「え、」

凄い音がした。頭が真っ白になっていく。
飛ばされた時、鞄の中身が飛び散って手帳が飛び出した。
はさんでいたあのカードが光るのが見えた。

もし、これで終わるのなら。
もし、使えるのなら。

誰だって、カードが光るなんて有り得ない事が起こったらやってみたくなると思う。
だから、私も。

「我の思いを、願いを聞き届け、叶えよ。≪
思≫ソート」

何も起こらなければそれでも構わない。でも、私の声を聞いたカードはさらに光った。

「優樹!!」

華世の声を聴きながら、目を閉じる。意識が強く引かれているのを感じていた。
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