Which is right Moon's Guardian?

□月と仮の姿
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ある日、俺は課題の為に桃矢から辞書を借りていた。それを返すために桃矢の家へと向かっている最中だった。

「この、気配は」

何かの気配を感じて、俺はそれを追う事にした。その気配の先には桃矢の家があった。

「お前達……!」

桃矢の家に着いた途端、剣を持った少女とあの日の少年や桜、知世がいた。
そして、桜の部屋にあるというぬいぐるみが動いていた。

「ほ、ほえ!?」
「桜、この状況は……」

俺の疑問が言い終わる前に、剣を持った少女が俺の方に斬りかかってきた。

「ッ」

避けようとしたが、突然の事に体が動かない。その瞬間、俺の頭に声が響いた。

「シュウ、避けろ。≪剣≫ソードの本気ではない攻撃くらいは避けられる」

無茶な、と思った瞬間には体が動いていた。少し低めの女の声は、俺の体を支配しているかのようだった。
だが、不思議と不快感はない。ただ久し振りに会った友達のように懐かしい気がしていた。

考えている暇はない。俺は少女に狙われていた。

「桜!狙いは俺だ、今のうちに逃げろ!」
「で、でも!」
「いいから!お前に何かあったら、桃矢に顔向け出来なくなる!」

俺の言葉に、桜が全員を連れて逃げ出した。誰もいなくなった事を確認すると、少女が剣を下した。
どうやら彼女は意識が無さそうだ。

「≪剣≫ソード、だな?」

俺の口から、あの低い女の声が出た。少女が静かに頷く。

「私は、クロウ以外の主を認めたくない。「あの日」が来る前に落とせ、≪剣≫ソード」

深い悲しみを感じさせる声で指示したソイツは、とても辛そうだった。少女はそれが分かっているのか、また頷いて桜達を追っていった。

「ま、待て!」

俺が止めようとすると、あの声に止められた。追いかけるな、と。
仕方なく、俺は少女を追いかけるのは諦めた。

「すまない、私の都合だがお前はさくらを……あの少女を助けてはならない」
「どうして?」

声に問いかけると、声はとても困ったようだった。何と説明していいか分からない、そんな感じだった。

「いつか、きちんと話す。だから、それまで待ってくれ」

そう言われたから、俺は辞書をその場に置いて家に戻る事にした。
だが、その後いくら呼んでも声は答えてくれなかった。
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