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「高尾、知っているか」



休み時間、いつもは和成から話しかけているのだが、この日は珍しく真太郎から和成に話しかけた。

和成はそれにひどく驚き、同時にとても嬉しく思い目をキラキラと輝かせながら答えた。



「なにをなにを⁉というか真ちゃんから話しかけてくるなんて俺嬉しい!」

「うるさいのだよ高尾!」



真太郎は照れを隠すようにメガネのフレームをくいっとあげ、続けた。



「『たなびく雲のその向こう』」

「?」



いきなり語るかのような口まわしに和成は内心少しだけ引きながらもどんな話かが気になり、口を挟まずに黙って聞いていた。



「『虹の橋という場所があるらしい』」

「……」

「『そこは、地上にいる誰かと愛し合っていた動物が、飼い主を待つ場所』」

「!」



真太郎の言葉に、和成ははっとして顔をあげた。

そこにはいつもの無愛想な真太郎。

しかし真太郎の目には相棒を心配しているような優しい光が差していた。



「大丈夫だ、ルートもきっと……そこにいる」



(……君は今、そこにいるの)
(いつものように、喉を鳴らして寝ているのかな)

 

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