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和成side
放課後、俺は珍しく1人で帰っていた。
いつもは真ちゃんと帰っているのだが、真ちゃんは1人でそそくさと帰ってしまった。
なぜなにも言わずに帰ったのか、それは言わずもがなだ。
家に着き、制服から私服に着替えているとき、本棚にある1つのアルバムが目に入った。
アルバムを手に取りページをめくる。
そこには幼い頃の俺と白い猫……ルートが写った写真で埋め尽くされていた。
ルートを両手で抱いて、満面の笑みを浮かべる俺。
それを見てなんともいいがたい気持ちになったとき、ふわりとカーテンが舞った。
風によってふわりふわりと揺れるカーテンの裏側に、ルートがいる気がして。
ただ風が吹き抜けるのを見ては、俺はまた涙をこぼしていた。
(「会いたい」と何度願っても、それが叶うことはない)
(けれど、君と過ごした日常は、決して幻なんかじゃないよ)