series

□2
1ページ/1ページ

和成side



放課後、俺は珍しく1人で帰っていた。

いつもは真ちゃんと帰っているのだが、真ちゃんは1人でそそくさと帰ってしまった。

なぜなにも言わずに帰ったのか、それは言わずもがなだ。



家に着き、制服から私服に着替えているとき、本棚にある1つのアルバムが目に入った。

アルバムを手に取りページをめくる。

そこには幼い頃の俺と白い猫……ルートが写った写真で埋め尽くされていた。

ルートを両手で抱いて、満面の笑みを浮かべる俺。

それを見てなんともいいがたい気持ちになったとき、ふわりとカーテンが舞った。

風によってふわりふわりと揺れるカーテンの裏側に、ルートがいる気がして。

ただ風が吹き抜けるのを見ては、俺はまた涙をこぼしていた。



(「会いたい」と何度願っても、それが叶うことはない)
(けれど、君と過ごした日常は、決して幻なんかじゃないよ)

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ