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和成side
ルートと出会ったのは、俺がまだ小学生の頃だ。
台風が近づいてるとかで外は大雨。
その台風のおかげでその日の学校は午前中だけで終わった。
下校していると、だんだん強くなる雨。
早く帰らなければ、と思いいつもは通らない公園の中に足を踏み入れた。
俺の家は公園を突っ切ると近道だから。
いつもは人がたくさんいる公園には当たり前だが誰もいない。
それがなんとなく寂しくも、足を進める。
ブランコの前を通りかかったそのときだった。
「にゃあ……」
猫の声が聞こえた。
聞き間違いかと思ったが、もう一度同じ声を聞いた俺はいてもたってもいられずその猫を探した。
その猫は、ブランコの後ろにある茂みの中の段ボールに入っていた。
運がいいのか、その茂みの木がうまく雨をよけていて、その猫と段ボールは全く濡れていなかった。
「お前……捨て猫か?」
「にゃ……」
俺が話しかけると返答しているかのように鳴く。
さっきも思ったが、その鳴き声はとても弱々しい声だ。
俺は傘を閉じて段ボールを持ち上げ、地面に溜まった水がズボンに跳ねるのも気にせず家に向かって走り出した。
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