LBS短編
□大晦日
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「……ふう、これでやっとひと段落つけますね」
テツヤが息をつきながら言った。
響夜は冬にも関わらず流れる汗を服の袖でぬぐう。
「でも、こうして片付いた部屋を見ると心がすっきりしますね」
「うん!さて、年越しそばでも食べようか」
大そうじのためにつけたエプロンと三角巾を取りながらテツヤを見る響夜。
「……それは響夜の手作りですか」
「あ……嫌だった……?」
テツヤがそんなことを聞くのはあまりないことなので、響夜は思わず不安そうに尋ねる。
が、テツヤの返答は響夜が思っていたようなこととは違った。
「いえ、響夜が作ってくれたなら完食しなければいけませんからね」
恥ずかしげもなくしれっと言うテツヤに響夜の顔に赤みがさす。
それを見たテツヤが少し口角をあげた。
「珍しいですね、響夜が照れるなんて」
「うっうるさいな!おそばの用意してくる……!」
テツヤに顔の赤みを見られた響夜はさらに顔を赤くし、照れを隠すようにキッチンへ向かった。
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