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□3人で
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―――腰が痛い。

眩しい光に目を細める。



「ん…、あれ?ここ……」
自分の部屋だ。

僕、何してたんだっけ。


兄貴と翠に、何度も―――…

考えただけで恥ずかしくなった。







「おはよう」
後ろからかかる声。

「お…おはよ」
翠だ。

「よく眠れたか?」
ニヤリと怪しく笑う翠。

「う、うん」
思わず目を逸らしてしまう。


あ、そうだ。学校行かなきゃ。





「学校……」

「止めとけ」
腰に手を回されて呆気なくベッドへ引き戻される。

「多分、二日酔いになってるだろう。それにお前、腰大丈夫じゃないだろ?」
そう言われて腰を翠の指で撫でられた。


―――ズキリ。頭と腰が痛い。翠から離れたいのに、離れられない。




…てゆうか、腰…?ん?



「………何で僕、裸なの?」
驚いて布団に潜り込む。

「昨日、あれからお前を運んだんだ。寝てたからな」
大きな手で頭を撫でられる。

服はそこだ、と翠がベッドの横の棚を指差す。棚の上には綺麗に畳まれた服があった。


「よっ…と。うわっ」
服を取ろうと手を伸ばしたものの、ベッドから転げ落ちる。

二日酔いに腰痛。オマケにベッドから落ちるって、最悪じゃん。



 
「…痛い」
シーツが身体に絡まって上手く動けない。

「ん」
翠がそんな僕を見かねたのか、服を取ってくれた。

「ありがと」
僕は翠から服を受け取る。





「み、見ないでね」
翠に忠告してからシーツの中で着替え始めた。

「海里、まだか?」
シーツの外から翠の声がした。

「着替えにくいんだよ、シーツの中って」
なんとかして下着をやっと履けた所だし。



「―――…なら」
シーツが引っ張られる。

「ちょっ、やめ…」
抵抗しても、シーツが絡まって意味がない。

「俺が手伝ってやる」
ニヤリと悪い笑みの翠。

シーツの中に翠の手が入って来た。






「大丈夫、だから…!!」
翠の手首をギュッと掴む。絶対こいつ何かするつもりだ。

「遅いから」

「いいってば…あ、わあ!?」
シーツに滑って転んでしまう。


上を見れば翠の顔。僕の上に覆い被さっている。

後頭部には大きな翠の手が回されている。庇ってくれたのかな。





「やらせろ。どうせまだ時間がかかるんだろう?」
翠は退屈そうな顔をしている。

「…う」
図星で返す言葉も無い。

「手を離せ」
そう言われてから翠の手を離す。

 
翠の手が僕に服を着せていく。たまに肌に指が当たってくすぐったい。



「翠、くすぐったい」
指が首筋に触れた。

「………」
翠は無言のまま僕を抱き締める。

「何、翠……ひゃっ」
突然、翠が僕の首筋を舐めた。



「海里」
耳元で囁かれる。

思わずびくついてしまう。

翠が首筋に顔を埋めた。やんわりと甘い痛みが走る。

翠の唇が触れている部分が熱い。どうやらキスマークを付けてるようだ。



「海里…、すまない」
悲しげな翠は僕を見つめる。

「へ?」
何の事だろう。

「もう、賭けみたいな事はしないから」
翠が抱き締める腕の力を強める。

「…うん」
僕は翠を抱き締め返した。






「――――――海里」
不意に名前を呼ばれて上を見上げる。

返事をする間も無くキスをされた。深い深い、キス。


「ふ、っう…」
苦しくて 突然で、息が出来ない。

「はぁ…っ」
噛み付くようなキス。




少しして、やっと唇が離れた。熱い翠の視線が絡む。凄く色っぽい。

数秒間、無言で見つめ合う。


「……、やめとく」
翠の身体が僕から離れた。

「?」
何の事かわからずに翠を見つめる。



 
「独り言だ」
クスッと笑う翠。

「そっか」
少し微笑んでみた。

「気にするな」
翠は少し僕の頭を撫でてベッドに座った。
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