花籠シリーズ
□花籠二輪
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このために腹痛を押さえる薬も腰痛を押さえる薬も用意してある。
問題も文句もねぇ、ただちょっとむなしくなるだけだ。
ほんの少しだからいい。
深く考える必要はない。
これが現実、これが温度差だ。
むしろ思い上がりと勝手な思い込みが悪化しなくてリクオの態度は正解だ。
きっちり線をひいたほうがばかな勘違いをしなくてすむ、むろん俺はそんな勘違いを最初からするつもりはないが、勘ぐる奴らはいる。
いざとなったら俺を切り捨てるぐらいでいい。
いざとなったら総会で戯れだといい放たれようがかまわない。
俺は別に構わない。
「リクオ、風呂借りるぜ。」
ここにいない主に一言呟くように告げる。
布団を片付け、敷き布を取り去る。
汚れた敷き布は自分で洗うことにしてる。
包みに包んで必ず持って帰る。
そして後で届ける。
俺達の関係を知っている雪女と毛女郎に渡す。
いつもその繰り返しだ。
部屋のすみに置かれていた着物を着て廊下にでる。
朝早い本家は静まり返っている。
妖怪は元々夜行性だ、若頭であるリクオを送り出すときは皆起きるが、そのあと二度寝をするものは多い。
家事当番の者だけが起きているであろう廊下を人目につかないように歩く。
少し歩くと廊下の向こうに見慣れない人影を見つけた。