短編
□八つ当たりの理由
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はっきり言って夜の僕も昼の僕も機嫌が悪かった。
イライラしていた。ムカムカしていた。
なんかもうモヤモヤが取れなかった。
だから・・・これは八つ当たりだ。
「悪かった。・・・すまん。」
もう何度目になるかわからないその謝罪を聞きながらも、その顔を見ずにそっぽを向いたままでいる。
「・・・指でもつめるか?」
途方にくれた声で顔色を伺ってくる。
「そんなもんいらねぇ。」
夜の僕は凄く低い声で応じた。
「・・・腹でもきるか?」
「んなもんみたくねぇ。」
今にも泣き出しそうな声でも苛々が収まらない。
「悪かった。・・・お前に怪我させるなんて下僕失格だな。」
がっくり肩を落とす鴆君は実は悪くない。