短編

□天才薬師の意地 裏(?)
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いやだ。

もうやめたい。

ってか泣きたい。

これはなんのいじめだ?

なんでこんなことしてんのかわからねぇ。

もういっそのこと薬師の看板さげてぇ。

おれはこんなもの作るために薬師になったんじゃねぇ。

・・・己に使う媚薬なんか作る為に薬師になったんじゃねぇ!!


数日前何時ものようにフラりと夜のリクオが薬鴆堂を訪れた。

俺もいつも通り歓迎して、酒や肴でもてなした。

そう、なんにも不手際はなかった筈だ。

いつも通り床の相手もした。

己の身体に自信があるわけでも、技量に自信があるわけでもねぇが、リクオに不満そうな様子はなかった。

それなのに、すっきりした筈のリクオは俺に言ったんだ。

『金曜日にまたくるからその時までにてめぇに使うようの媚薬作っておけ。』

『・・・はぁ!?』

一瞬呆けて返事が遅れたが、俺は本気で聞き返した。

『なんだてめぇ薬師の癖に媚薬も作れねぇのか?』

『媚薬ぐらい作れる!』

ってか聞きてぇのはそこじゃねぇ!

意味がわかんねぇ!

なんで俺が俺に使うようの媚薬作んなきゃなんねぇんだ!?

『じゃあ問題ねぇだろ?それとも何か?てめぇは俺の忠実な下僕だとか言ってた癖に主の言うことが聞けねぇのか?』

確かに俺はリクオの下僕だ。

リクオの言うことに逆らう気はねぇ、だがこれは違うだろ!?
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