未来編
□気息奄奄
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ヒューヒューと息をする度不快な音がする。
息をしてるはずなのにやたら息苦しい。
空気を吸い込もうとするとむせる。
まともに息ができない。
虚ろな意識のまま、数える。
あと少し・・・あと5時間でリクオが帰ってくる。
枕もとに置かれた時計をみる。
時計の針が霞む。
コツコツコツ
静まりかえった室内に時計の音が響く。
猛毒がまし、起き上がることもままらなくなった俺は最後の我が儘で本家に住むことを希望した。
最後の最後まで傍にいたいというその願いをリクオは聞き届けてくれた。
どこでもいい隅に置いてくれていいからとそう言ったのに、わざわざ上質な離れを用意してくれた。
そして更に猛毒にも耐えられる介護役を呼んでくれた。
なんか欲しいものはあるかと聞かれ、即座に時計と答えた。
それから暇さえあれば時計をみてる。
正確にはリクオがいないときはいつもみてる。
学校が終わる時間を数え、いま何をしてるかを考える。
宿題をやってる背中をみつつ、今日は何時間一緒にいられるか数える。
リクオが修学旅行にいってる間はほとんどずっとみていた。
あと何日・・・。
あと何時間・・。
ずっと数えていた。
あっさり見送ったはずなのに未練たらしいと笑われそうだが、ずっと待ってた。