未来編

□意思堅固
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翠とあってから20日が経過した。

鴆くんは既に人型を保つこともできなくなり、本来の鳥の姿で布団に横たわっている。

食事を摂ることもままならなくなり、最近はストローのような管で嘴の間から送り込んでいる。

それでも自分がくれば視線を送り、夜の姿の僕を見つめてくる。

「あと10日だ。」

頑張れと言葉だけの無責任な思いは心にしまい微笑む。

わかってると瞳だけで返答が返される。

その身体に手を触れようとした時襖の向こうから僕を呼ぶ声が聞こえた。

「三代目、申し訳ありませんが少しきていただけますか?」

女言葉じゃない言葉使いで朱意に呼ばれ立ち上がる。

「わるい、ちょっと行ってくる。」

一言断り、襖の外にでる。

「朱意どうした?」

廊下で片膝をつく朱意に問いかける。

「三羽鴉からのご報告です。富士の地にて大規模な妖怪と土地神との抗争が起きているとのことです。奴良組傘下の土地神も抗争に参加したいと願い出ています。」

土地神が集まっていると言う広間に向かう。

広間には既に奴良組の幹部が数名揃っていた。

僕は上座に座り、目の前に控える土地神に眼を向ける。

「状況を詳しく教えろ。」

僕の言葉に土地神が口を開いた。

数日前富士の麓の大きな神社が妖怪に襲われた。
狙いは奉納されている神器で、神社に住まう土地神は力を合わせ妖怪を追い払った。

ところがその妖怪が仲間を連れ再び現れたらしい。

いまたまたま通りかかったという別の大陸の龍神が防いでくれてるが、妖怪の数が多すぎる。

そのため近くの系列の神社に応援を要請しているらしい。


(別の大陸の龍神?)

報告を聞いていた僕はその一言に引っ掛かった。

まさかと思うが、僕は口を開いた。

「その龍神の名前はわかるか?」

「はい、翠と名乗ったそうです。」

僕はその言葉に立ち上がった。

「黒羽丸、宝船を呼べ。それに組員をかき集めろ。」

驚く皆に笑みを浮かべる。

「出入りだ。富士の地には俺がいく。」
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