未来編

□一蓮托生
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苦しい。

気持ち悪い。

息ができない。

気が狂いそうなほど身体の中が痛い。

己の身体を毒以外のもので侵される。

今まで感じたことのない苦しみに俺は発狂するかのように悲鳴をあげる。

「翠、なんとかならねぇのか?このままじゃ鴆の体力が持たねぇ!」

心配そうなリクオの声が聞こえる。

「なんとかならならないことはないが、結構つらいぞ?耐えられるか?」

先程あったばかりの男の声がそれに答える。

(何をしようとしてる?)

つらい?リクオが?

(やめろ・・・俺なら大丈夫だ。だからやめろ!)

「大丈夫だ。」

「いくぞ、移し身。鴆の苦しみの半分をリクオへ。」

俺の願いもむなしく、凛とした声が響き、苦しみが軽くなる。

「あぁ・・・!!」

その代わりにリクオの絶叫が響き渡る。

(リ・・・リクオ!頼む戻してくれ!)

自分の身が受ける痛みより、リクオが苦しむほうが俺には耐えきれない。

俺なら耐えきれる。

苦しみにも痛みにも慣れてる。

だから・・頼む・・リクオを苦しめるのはやめてくれ。

声をだそうとして口を開く、せめて状況を知りたいと瞳を開く。

「無駄だやめろ。」

翠の声がそれをとめ、同時に視界を塞がれ、口を塞がれた。

「リクオは大丈夫だ。お前の願いはわかるが余計なことは考えるな。」

俺に言い聞かせるようにその声が響く。

「これ以上俺に術を使わせるな。俺だって限界なんだ。」

つらそうな息遣いでそう喋る翠の言葉に促され眼を閉じる。

「この部屋から声がもれないように術を張ってる。叫びたいだけ叫べ、叫べなくなったら寝ろ。そうすれば副作用を乗り越えられる。」

ゆっくり背中を撫でるその手が小刻みに震えているのがわかる。

おそらく翠も同じ苦しみを味わっている。
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