未来編
□為虎添翼
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事が決まってからは大変だった。
1週間留守にしても大丈夫なように薬の確認に大忙しだった。
足りないものがないよう予備を何度も確認し、大抵のことは載ってる医学書をだした。
もしもの時はリクオに連絡をとるように言いつけた。
そして1週間分の私物をもち、迎えにきた鶴とともに俺は薬鴆堂を旅立った。
妖怪ならではの速さで大陸につき、すぐに翠の前に通された。
翠は前回あった時とは違い、大陸の袴みたいなものを着ていて上着も短いものを着ていた。
動きやすそうなその服装に支度はしてあるとわかる。
「1週間で気合い覚えろ。」
「頼む。」
深く頭を下げ修行が始まった。
一日目、舞いの基礎を叩き直された。
微妙な角度の差も毒の舞いには許されないと言われた。
休憩中は相談にのってくれた。
『だから、お前はちまちま余計なこと考えすぎなんだ。そもそもリクオは夜も昼も全部欲しい、妖怪も人間も諦めないってぐらい欲深なやつなんだ。そんな奴が一度手にいれた獲物を手放すと思うか?』
『獲物って・・・。だけど俺こんなだからいらなくなったら・・・。』
『こんながどんなか知らねぇが、だいたい本気のあいつに並べる奴なんて俺を別にしたら殆どいねぇんだ。リクオはそれを理解してる。だから並ぼうとか考える必要はない。』
グチグチと不安を口にする俺を翠は叱咤した。
二日目、毒の舞いと普通の舞いの違いを説明され、足運びを教えられた。
数mmずれただけでも怒られた。
『俺はどうしたらいい・・・?』
『どうもする必要もない。全部信じて任せればいい。俺はあいつほど執着心の強いやつをみたことない。物は物らしく永遠に束縛されとけ。』
どんな言い種だとは思うが、翠の言葉はどこか安心した。
三日目、何通りもある毒の舞いを叩き込まれた。
身体で覚えろと鳥頭でもなんでも根性で覚えろと怒鳴られた。
『お前本当に自分に自信がないんだな。愛されてるか不安とかなに言ってんだ?俺は生半可な愛情じゃ血の契約は結ばない。そんなに不安ならリクオがお前のことどう考えてるかはっきり教えてやる。いいか?喋りだしたらどんなに恥ずかしくてもやめないからな心しろよ?』
『悪かった。・・・やめてくれ。』
なんか凄いことになりそうで俺は詫びて頼んだ。