未来編
□光彩奪目 裏
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夜空に浮かぶ満月の下、本家全体が勝利に酔いしれていた。
本日行った大規模な出入りで奴良組は圧勝した。
毒の舞いを習得した己ももちろん参加し、戦場で舞いを披露した。
実際の戦場での初めての舞いに不安はあったが、戦いが始まってしまえば余計な考えは浮かばなかった。
敵に向かい毒の舞いを舞った。
毒の舞いを舞い、時に夢闘丸に毒を纏わせ戦った。
自画自賛かもしれないがかなり成果を上げた。
「今夜の鴆様は素晴らしかったですね!」
古参の妖怪に褒められ、ちょっと照れつつ笑う。
「いやいや、いままで役にたてなかった分にはまだたらないぜ。」
笑い、次々つがれる酒を飲み干す。
つがれるのは嬉しいことだが、一番ほしい相手からの酒はまだこない。
目線を送れば、リクオは側近からの酒を受けていた。
(だよな。)
戦で活躍したものに酒がつがれるのは当たり前、例え俺がいつにもなく活躍してもリクオはそれ以上に活躍してる。
つがれる量が多ければその場から動けない。
何時もなら俺がつぎに行けば傍に行けるし、リクオからの盃を受けとることもできる。
なのに今宵はそれが出来ない。
じっとみてたらリクオと眼があって慌て反らす。
その瞬間ゆっくりリクオが立ち上がり一同を見回した。
その仕草に全員の眼がリクオに集まる。
「皆、今日はよくやってくれた。皆のおかげで今宵は圧勝だった。今宵は気がすむまで飲み明かしてくれ。」
三代目らしく労いの言葉をかけたリクオは俺をチラッとみた。
「悪いが、俺はこれで下がらせてもらう。皆はゆっくり楽しんでくれ。」
そういい、引き留める側近達に軽く笑い詫びるとリクオは広間をあとにした。
「悪い!俺も戻る。またな。」
呆然とそれを見送ったあと、俺は気付き立ち上がった。
(もしかして・・。)
リクオが呼んでた気がして、近くの妖怪に断り慌て広間をあとにする。
(どこ行った?)
広間をでてキョロキョロと辺りを見回す。
リクオの部屋かと思ったが、部屋に灯りがついてる様子はない。
リクオを探し廊下を歩いていた己の眼に養生していた離れが映る。
灯りがついた離れに誘われるように俺は足を進めた。