白昼夢シリーズ
□悪夢2
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「ただいま。」
薬鴆堂の門をくぐり、中に入ると見慣れた蛙の番頭が走りよってきた。
「お帰りなさい!どうでしたか!?」
「やっぱり駄目だったよ。僕を見ても思いだしもしなかった。」
「そうですか。」
蛙の番頭はガックリと項垂れた。
「ごめんね。僕の力が戻ったらすぐ解決できると思うんだけど。」
帰ってこない主を心配するけなげな下僕の頭を撫でる。
彼は鴆くんが帰らない間必死に薬鴆堂を守ってくれていた。
そもそもの始まりは一週間ほど前、僕が遠野に出かけたことだ。
遠野で祭りがあると淡島から聞かされ、招待された。
懐かしい顔ぶれに会えるだろうと僕はその招待を受けた。
組の皆も笑顔で送り出してくれた。
2日後遠野から帰ってきてもいつも通りを予想していたのに屋敷についたら違和感を感じた。
出かける前とは違う妖気が屋敷を多い尽くしていた。
どういうことだろうと思ったら中から黒田坊が出てきたから声をかけた。
いつも通りに声をかけたのに黒田坊は凄い変な顔をした。
そして言ったんだ。
誰だ?と。
なんかの冗談だと思ったんだけど、その目は本気だった。
名前を名乗っても反応がなくて、しつこく話しかけた僕に黒た坊は訝しげな表情を浮かべた。
そして鬱陶しそうに言ったんだ。
『何を勘違いしているかわからないが、ここは奴良組本家、奴良白夜さまの屋敷だ。人間が立ち入る場所じゃない、帰れ。』
『何を言って!?』
『なんの騒ぎだ?』
騒ぎを聞きつけたのか門が開き中から青た坊が顔を覗かせた。
『青!大変だよ黒田坊が!』
『お前誰だ?』
そう返す青田坊の瞳は黒た坊と同じ警戒心に満ちていた。