白昼夢シリーズ
□悪夢5
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いつも通り本家に忍びこんだ僕は鴆くんを探した。
いつもいる部屋にいないから本家の中を探し回らなきゃならない。
こんな時家が広いことに不満を覚える。
今は畏れも使えないんだ。
神経を張り巡らせていないと見つかってしまうかも知れない。
自分の家で隠れなきゃいけないなんてなんの因果かと思う。
(鴆くんどこにいるの?)
縁の下や襖の影を駆け抜ける。
「・・・。」
その時廊下を歩く足音と共に聞き慣れない声がして僕はすぐ身を隠した。
「それにしても見事なものだったな。」
「ええ、あれほどのものだったとは恐れ入りました。」
薄笑いを浮かべ廊下を歩いてくるのは見たことのない妖怪二人だ。
大きな鬼のような妖怪と腕が四本ある妖怪は下品な笑いを浮かべこちらに向かってくる。
「白夜さまはお人が悪い。あれほどのものを独り占めされるとは。」
「本当に美味そうですよね。いかがでしょう今度我々もご相伴に預かれるようにお願いしてみては?」
ご相伴?うまそう?酒蔵でもひらかれたのだろうか。