白昼夢シリーズ
□悪夢9
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あの最悪な夜から数日、僕はまだガラス玉を発見できないでいた。
それと言うのも狙い目だった筈のひるの本家に人の出入りが増えたせいだ。
みたことのない妖怪が出入りするようになり、更に人間の出入りも増えた。
そのせいで僕が本家に滞在できる時間は一気に減り、早朝が大半をしめた。
早朝は妖怪達は起きてないし、人間の客もないからだ。
そしてその時間は僕にとってつらい場面をみる可能性の高い時間だ。
辺りに他に気配がないのを確認しそっと部屋に走り中に入る。
誰にも気づかれないよう 戸を閉める。
軽く深呼吸して自分を落ち着けてから見つめる先には見る影もない姿で布団に横たわる僕の大事な人。
一晩中抱かれそのまま放り出されたその身体は赤いキスマークに歯形、そして縄の痕・・・痛々しいとも言える痕が沢山残っている。
中に出されたものもそのまま、溢れでたものは太股をつたい布団の上に溜まっていた。
筋肉がつかなくて、どこか頼りなくみえた身体にも白いものがこびりつきあっという間に痩せこけた身体を更に痛々しく見せた。
僕の気配にも気づかず眠り続けるのは気絶しているのかも知れない。
寝ているとは言いにくい惨状、それはこの数日毎日のことだ。
僕は肩にかけた鞄から筒に入ったタオルを出した。
用意していたホットタオルで鴆くんの身体を拭く、暖められ身体中に残った痕がより一層赤くなる。
その痕に僕の胸が痛む。
自分の無力がいやになる。
できることなら鴆くんだけでもさらって逃げたい。