白昼夢シリーズ
□悪夢10
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ズザッ!
僕はじめじめとした土の床に放り出された。
腕には木でできた手枷がはめられ、まともに受け身も取れず腕や顔、そして着物が汚れる。
「たかが人間ごときがこの屋敷に入りこむなんて盲点だったな。言え、誰の差し金で忍び込んだ?」
地べたにはう僕を白夜は冷えた残酷な目線で見下ろす。
「差し金?なんのことだか全然わからないな。僕は僕の意思で忍び込んだんだよ。ここが気に入ったから。」
「そんな訳ない。手引きしたものがいるはずだ。言え、言わないなら殺す。」
残酷な眼差し、血の気を含んだ視線、首元に突き付ける刃先。
ああ、これじゃあ大抵の妖怪はあっさり屈するね。
人間なんてひとたまりもないだろう。
だって白夜は殺すことに躊躇いなんかないから。
死を恐れるなら怖いはずだよ。
でも僕には通じないけどね。
「そんなこと言われても知らないものは言えないよ。」
恐れを覚えず平然と返せば白夜の顔が更に怒りに染まる。
「なら死ね。」
「待てよ!白夜落ち着け!たかが人間じゃねぇか!」