リクエスト
□風邪で裏
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外はいい天気だ。
空には満月が輝いている。
虫の音が聞こえ、秋に近づいたおかげで涼しい。
絶好の月見日和だ。
なのに・・・夜の僕は月を見ずに不機嫌そうに目の前の布団を見下ろす。
「リクオ・・す、すまねぇ。」
苦しそうな息遣いが聞こえてくる。
「てめぇ、何度謝ったら気がすむんだ?いいから寝てろってるだろ。」
呆れ半分に返すと、鴆くんはまた謝った。
確かに月見をしようと思って薬鴆堂に来たけど、これは仕方ないだろうと思う。
風邪ひいて熱だしている鴆くんをほっといて、月見ができるわけない。
「俺に構う必要はねぇ・・・相手できなくて悪いが好きにしていってくれ。」
息も絶え絶えのまま何を言ってるんだと思うけど、どうやら鴆くんは本気らしい。
「馬鹿かてめぇは、俺がすることは俺が決める。それをてめぇに決められる覚えはねぇ。」
ちょっと不機嫌になる。
だって馬鹿にしか思えない。
こんな真っ赤い顔して、苦しそうに息をしながら切なそうに・・。
ゴクッ!
長くみていたせいで、喉が鳴った。
(ヤバい。見すぎた。)
慌てて眼をそらせば、鴆くんが見つめてくる。
さっきから眼を反らす僕をつらそうに見つめてくる。
「・・・リクオ、怒ってるのか?」
「別に怒ってねぇ。呆れてるだけだ。」