□放課後に甘い接吻を【3Z,銀猿】
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私は咄嗟に少し奥へ隠れる。



「おぅ…

って誰が変態だよ?!」


先生は沖田君と話し始めてしまった。


「隠したつもりですかィ?

生徒をこんな隙間に閉じ込めて放置プレイたぁ、

先生もやり手ですねィ」



沖田君の顔に、黒い笑みが浮かぶ。

先生は「ああ、こいつ」と言って
丸めた新聞紙を私に向かって突き出してきた。



「なんか最近、先生変なもの見えんだよ。

でもこいつは
デカイゴキブリに違いねぇよな。

ちゃちゃっと始末しちゃうから。


あ、それとも沖田飼う?
前カブトムシ探してたよね?」



そう言う間にも
私を新聞紙でパコパコ叩いてくる。



「いたたたた!ちょっと!

他人に私を渡して、見て楽しむってわけね?!

そういうの恥ずかしいじゃない!!

堪らないけどォォォ!」



先生の腕の隣から
沖田君がひょいと顔を出した。





「先生こいつぁゴキブリじゃねーや・・・」






私を覗きこんで、
彼はますます腹黒く笑う。




やめて。思わず体が強張る。

私を射すくめていいのは、
銀八先生だけなの!!




「メス豚ですねィ。

それも、かなり変態の」



「はぁ…豚だったかぁ。
先生んち、飼えないんだよな。

俺、極度の豚アレルギーなの。」



「苦労してますねィ。

豚はしつけが出来ねェんで、
俺も無理でさァ…。


あ俺、古語辞典借りに来ただけなんで」



沖田君は憐れむように
先生の白衣の背中をポンポンとなぐさめて、

そそくさと資料室を出て行ってしまった。






「ふぁーぁ。
めんどくせぇことしやがって…!」



先生は大きく欠伸すると、
私をチラッと見ただけで

コーヒーを淹れ始めてしまった。
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