ぬこ日和

□その2
1ページ/2ページ

…眠い


カーテンから微かに漏れた光が布団の中にいる僕の顔にあたる

重い体をゆっくりと動かし、その場に起き上がる

そして台所へと足を運んだ



「今日は昨日の魚の残りか…」

誰もいない薄汚れた台所でみそ汁を作る

家中に味噌の匂いが漂った



河合曽良 19歳
大学生で母親と二人暮らし
しかし母親は仕事が忙しく帰りが遅く、実質一人暮らし


朝ごはんを済ませ、さっさとある人物の家に向かった


「課題くらい簡単でしょう…まあ妹子さんと鬼男さんとヒュースケンさんのことだから仕方ないですが」


今日は大学の友達と勉強会で、妹子さんの家に行く

「また僕が結局教えるんでしょうね」

ため息を吐き、足を動かす


「…ん?」


途中見かけた見慣れない建物

前は空き地だった


そこへ一人の男が出て来た

「やあ、君…猫いる?」

いきなり話かけてしかも猫いるとか意味がわからない

「いるも何も…」


「いきなりなんだけどお願いがあるんだ」


何故僕じゃないといけないのか、意味がわからなかった

そんな思いを余所に男は構わず話を進めた
「実は1匹だけ商品にならない猫がいるんだ。その貰い手を探してくれない??」

正直言って非常にめんどくさかった

しかし

この男の目が明らかに輝いて…

断るに断れなかった



「ごめんね本当に…」


「そんなことないです」


「ではお願いします」

とペコッとお辞儀した後、男は建物の中に入った

というか消えた


「…変な人ですね」

ポツリと呟き、腕の中の茶色い猫を見つめた

さきほどの商品にならない猫はこいつだ


何も知らずに呑気に鳴いている


「妹子さん猫大丈夫かな…」


家に戻ることもできないので連れて行くことにした























朝起きたら


カレー臭い青ジャージ(太子)がいなかった


「太子ーご飯だよー」

と呼ぶと


「にゃうー!!」

と鳴いて

とてとて歩く(デフォルメ)太子がいた



「………!?!?!?たたた太子っ!?」


昨日の綺麗な猫の面影がすっかりなくなり、もろくそ人に近くなっていた


そのことを考えると昨日の太子にキスされたことを思いだし、顔が真っ赤になる

それに気づいた太子はニヤニヤしていた

「ニヤつくな!!第一お前は何もかもいきなりすぎて怖いんだよ!!ちゃんと本人の許可
を得ろ許可を!!いやそれよりも何よりも男にキスなんてありえないから!!!」

太子に罵声をあげる僕は傍から見ると明らかに変な人だろう

その罵倒に反応した太子は僕に蹴りを入れた

チクショー意外にいい蹴り入れんなこいつ

「痛っ」

片足を蹴られ、体のバランスを崩し、倒れ込んだ

そこからすかさず太子が上にちょこんと乗る

そして


「太子駄目駄目駄目駄目駄目やめろっやあっ何すんだっ!!」


太子は僕の着ていた服を上にめくりペロペロ舐めはじめた

「あっ…だ、からやめっ…ぁはっあ…」


乳首ばっかし弄って、指で、舌で、尖った犬歯で…

とにかく弄る弄る

「やあ…はっ…んぁ…やめろ…は、あぁ…」

ニヤッとまた笑い、今度は下の方に手を出そうとしていた

「まっ…待て!!それだけは、マジでヤバいかっらぁ…!!」

言ってる途中で続けようとまた舐めはじめた


(猫にこんなことされてる僕って…!!)


「マジで…駄目だ…やめろぉ…」


涙目で太子に訴える

屈辱だ


しかも表情が明らかに「その顔、誘ってるんだぞ」と言わんばかりで

思わず


「きゃああああああぁぁぁぁぁ」


と女の子っぽく叫んだ


すると


「妹子さーん、来ましたよ」

「曽良君っ」


太子を除けて玄関で曽良君を迎えた

頬を膨らませ曽良君を睨む太子を後ろで感じたが気にしない


「あれ?曽良君なんか持ってる?」


曽良君の後ろの手には何か物体?がちらつき、気になる


「妹子さんは猫大丈夫ですか?」

「えっ…大丈夫だけど…」


「ならよかった」

と言った瞬間、曽良君の右手には茶色い猫。


…だったんだろう

僕には、緑色の着物を着た猫耳生えたオッサンにしか見えない


「これ…曽良君の?」


「いえ、ですが貰い手がいなければ僕が飼おうかと」


「え、訳あり?」

「はい。商品にならない猫らしいので」

「へえ…」

「妹子さんに頼もうとしましたが…既にいますね。」

「あ、あぁ、こいつは昨日買ったばっかしなんだ!!」

「そうなんですか。名前は?」

「太子です」


会話は弾み、楽しんでいたがそれを阻止するかのよりに太子が曽良君の猫に飛びつく


「あ!!太子てめぇっ!!」

「…とりあえず猫は太子に任せて…おじゃまします」


「どうぞ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ