幕恋短編集 武市編

□幸せのまじない
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可憐に咲く花のように、無邪気に笑う君

僕はその花に吸い寄せられる蝶のように、君の頬に触れる

手のひらに、君の柔らかさと温もりを感じながら、君を見つめると、君は僕の手に自分の手を重ねながら、幸せそうに微笑んだ。

溢れてくる愛しさに、高まっていく気持ちのままに、僕は空いた方の腕で、君を引き寄せる。
腕の中に納まった、柔らかな温もりに、とめどなく愛しい気持ちが零れ落ちる。

ふと、君が君の頬に触れていた僕の手を、重ねていた手でとると、その手のひらと、僕の手のひらを合わせた。

「何をしているの?」

その行動の意味するところが分からずに、僕が尋ねると、

「幸せが続くおまじないです。
半平太さんと、これからもずっと、こうして二人で居たいから。」

君は、はにかみながら、そう言って笑った。
その笑顔に、僕は心を鷲掴みにされ、思わず君を強く抱きしめてしまった。
突然、僕が強く抱きしめたことに、君は戸惑っていたけど、やがて、身を委ねるように、僕の胸に顔をうずめ、背に手を回してきた。

心が幸せで満たされていく
君に出逢わなければ、知ることの無かったこの想い

僕は腕の力を緩め、君を愛しげに見つめると、その桜の花弁のような唇にそっと口付けた。


君を愛している
僕がずっとそばにいるから
守っていくから
僕のそばでずっと、笑っていて欲しい
僕だけをずっと、見て居て欲しい
僕だけの君でいて欲しい


唇を離すと、僕は手のひらを君の前に差し出した。
君は笑って、僕の手のひらに自分の手のひらを合わせてくれた。


どうか、この幸せがいつまでも続く事を…


そう願いながら、お互いに赤くなった顔を見合わせると、気恥ずかしくなって笑い合った。



〜終〜

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