その他小話
□めりーくりすます
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雪の花が舞う…
はらはら
はらはら
町が白く包まれていく…
君の顔が見たくて
君と一緒に過ごしたくて
はやる気持ちを押さえながら
僕は君に逢いにいく
君から教えてもらった
『くりすます』
懐には君への『ぷれぜんと』
今日は君と二人で…
「もうすぐクリスマスだなぁ…」
師走も中頃を過ぎた頃に、ふと君が呟いた。
「くりすます?」
聞いた事の無い言葉に疑問を投げかけると、君はクスリと笑って教えてくれた。
「クリスマスはね、家族や大切な人と過ごす日なんです。
ツリーや部屋を飾り付けて、ご馳走を食べたり、ケーキを食べたり、プレゼントを贈りあったり…。」
「……。」
また知らない言葉が並んでてよくわからずに黙っていると、君は慌てて説明してくれた。
「あごめんなさい。わかんないですよね。
簡単に言っちゃえば、部屋を飾ったり、家族や大切な人と美味しいもの食べたり、贈り物を贈りあったりするんです。」
「へぇ…、なんだか楽しそうですね。」
そう答えると、
「はい!楽しいです!」
と、とびきりの笑顔で返してくれた。
その笑顔が可愛くて、つい口元が緩んでしまう。
「あ、笑った!私の事、子供だって思ったんでしょ!?」
「え?そんな事は…」
思わぬ濡れ衣をかけられ、僕は答えに困ってしまう。
「いいですよ!否定しなくても!自分でもわかってますから!クリスマスに、はしゃぐ歳でもないことは…。」
そうは言うものの、饅頭のように膨れた顔をする君に思わず笑ってしまった。
「アハ!アハハハハ!!」
「!?また笑った!!酷い!!」
顔を真っ赤にして怒る君…。
その顔もまた、可愛いな…
僕は彼女の手を取り、指を絡めた。
驚いた顔をして僕の顔を見上げた君に僕は言う。
「良かったら僕と一緒に『くりすます』を過ごしてくれませんか?」
「え?」
大きな瞳が更に大きくなり、その瞳は僕を映している。
僕は続ける…。
「大切な人と過ごす日なんでしょ?
君のいうような事はできないと思うけど、僕は君と『くりすます』を過ごしたいな…。」
そう言って笑顔を向けると君は、耳まで真っ赤になって困った顔をしながら俯いた。