幕恋短編集 大久保編

□弱みの意味
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「許しを請うのか?
では、お前のくだらない考え事の内容を聞こうか?
それでナシにしてやろう…」


「えっ

なんでそうなるのぉぉおおっつ

「話したくないのであれば、そうだな……
………ふっ…」

意地悪く微笑む大久保さん。
くっ、逆らえない
このサディスト
鬼ぃぃっっつ

私は観念してこたえた。


「…大久保さんの弱みって何ですか?」


「は?」

鳩が豆鉄砲喰らったみたいな顔してるよ
あぁ、もう
どうせ、

「そんなもの、あるわけなかろう馬鹿者が

とか言われるんだろうな

「何を考えているのかと思えば…」


溜め息混じりに呆れた顔でこたえる大久保さん。
はぁ…
今から阿呆だの、馬鹿だのと罵られるんだろうな…
そんな事を考えていた。
でも、返ってきた答えは予想外のものだった

「私の弱みだと?
……そんなものはないのだが………………………
しいてあげるならお前の存在なのだろうな…」


優しく微笑み、私の頬を撫でながら大久保さんはそう言った


でも…

「それってどういう意味ですか?」

なんで私が弱みなの?
意味わかんない
どういう事?


不思議顔でいると、


「……お前
わざとか?
わざとなのか?」



「え?何がですか?」


だから何なのよ
ハッキリ言ってくれなきゃわかんないじゃん!


「はぁ…」


盛大に溜め息をついた後、大久保さんは私にでこぴんした。


「イタッな、何するんですか


「もうよい…
お前はそういう奴だったな…」


そういうと大久保さんは私をその腕から開放した。


「あ、あの…?」


私の頭の中は?でいっぱい…



「小娘

「はいっ

「茶を淹れろ。極渋でな

「……はい…」


結局いつもと変わらないやりとり…
でこぴんされた額をさすりながらその場を離れる


はぁ…
大久保さんの弱みを握るなんて結局、私には無理な事なのかな?



『私の弱みだと?
……そんなものはないのだが………………………
しいてあげるならお前の存在なのだろうな…』



さっきの大久保さんの言葉を思い出す

大久保さんの弱みが私って…


それって…?





私がその意味を理解するのは、そう遠くない先のお話…






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