小説
□好きなヒーロー
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かっこいいよねえ折紙サイクロン…。そう呟いた彼女は視線はTVに釘付けだった。というのも、TVをつけたら、HEROTVの総集編がやっていて、しかも丁度にそこに映っていたのが折紙サイクロンだったりしているのだ。
「そ、そうかな…」
「うん、私はね好きかな」
のんびりとした口調で彼女は言った。実は僕が折紙サイクロンなのだけれど、未だ彼女に僕の正体を伝えられてない。ああ、あの時伝えようって決めたのにやっぱ僕ってだめかも…
「ねえねえイワン君」
「えっ!?な、なに?」
「イワン君はどのヒーローが好きなのかな?」
「え、と僕もやっぱり折紙サイクロンかな…見切れ職人なんて呼ばれてるけど手裏剣とかカッコいいし」
「そっかあ、一緒だね」
好きなヒーローが一緒なんて嬉しいなあ…とか純粋に喜んでいる彼女。もし、折紙サイクロンの正体が僕なんかだと分かったらガッカリされるに違いない。そう思うととても言い出せなかった。
「折紙サイクロンはね、人命救助を優先にしてるし、きっと優しい人なんだろうなあ。」
「そ、そうだね」
「なんだかイワン君に少し似てるね」
そう言われてドキリとした。やっぱり彼女は気づいていってるんだろうか?僕の正体に。それだったら…!
「い、いつから気付いてたの?」
「?」
「僕が、折紙サイクロンだってこと…」
彼女は一瞬きょとんとして、そしてふわりと笑った。
「イワン君が折紙サイクロンだったんだね」
「ガッカリ、した?」
「ううん、そんなことないよ。言ってくれてありがとう。これで私はもっともっとイワン君、折紙サイクロンの応援ができるよ」
「あ、ありがとう」
彼女の言葉が嬉しくて、僕はもっとヒーローとしてがんばろうと思った。