小説
□彼とマドレーヌ
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「ハーイ、タイガー&バニーの来るものは拒まない方、バーナビーです!」
「ほざけ、兎が…」
ウサギのぬいぐるみ(アニメ#5話参照)をぎりぎりと握り締めてはわたしは言った。どっかの閣下みたくお前も蝋人形やろうかの意を込めて。
「今日はやけにご機嫌ななめですね」
「う る さ い」
「もしかして僕に嫉妬してくれてたり?」
「何故そうなる?」
「だって今日はバレンタインで、他の女性からチョコを貰ったりしましたし」
「たわけが…」
口ではそう言ったものの実は図星なわけで、顔立ちだけは良い(ハンサムなんて呼ばれてる)バーナビーはわたし以外の女の子からチョコを紙袋一杯貰っているのだ。…べ、別にバーナビーのためにチョコを用意して、渡すタイミングを逃したから苛々してるわけじゃないんだからねっ!って、わたしはどこぞのツンデレだ…自分が恐ろしい。
「どうしたら機嫌を直してくれますか?」
きれいなエメラルドグリーンの瞳がわたしを直視してる。くそう、そんなの反則だ。ときめかないわけがないんだ。
「…受け取れ」
もう渡さないつもりだったそれをバーナビーに投げ付けてやる。ラッピングも何も施されていないシンプルなピンク色の箱。
「これは…」
「言っとくけど、あんたのために手作りしたとかないから」
「……」
バーナビーは丁寧に蓋を開ける。出てくるのは正規品とは反対に歪なチョコ。それを手に取って、口に運んだ。
「僕のために…」
「ち、ちが
言い終わる前に抱き締められた。温もりが心地好い。必死でもがくけど、慣れたオーデコロンの匂いに落ち着いてしまう。
「有難うございます。愛してます」
「ばっ、離れろ」
次第に羞恥心が込み上げてきて、無理やり体を引き離した。
「実は僕からも貴女に渡したいものがあるんです」
「なに?」
「これです。」
私のものとは真逆にきれいにラッピングされた箱。開けてみるとそこには
「なにこれ…」
「何ってマラドレーヌですよ。」
にっこりと微笑まれる。その微笑みに一瞬心奪われたのは置いといて、マラ、ドレーヌ、だと…?そこには明らかにチコ(一応自主規制)を型どったお菓子がある。
「それを加えてる貴女の姿を激写したい」
「こんの、HENTAIがー!」
ぐしゃり、嫌な音がして、バーナビーが床に倒れ込む。ハンドレットパワーも真っ青な右ストレート。
「バーナビーのばか!変態!」
「くっ…待って!」
その後数日間、バーナビーがヒーローTVに出演するこてはなかったという。
今回の被害:バーナビーのヒーローポイント及びプライド、プライスレス☆
おわり